日本を代表するコメディ映画の迷手、福田雄一監督が今作を手掛けるというのはファンの間で不安が広がったのではないか。
佐藤二朗、ムロツヨシといった個性派俳優の起用、グダグダしたアドリブの応酬、良くも悪くも内輪ノリ、その最たるが「新解釈三国志」であった。
勇者ヨシヒコシリーズは低予算を逆手に取った新しさが見られたが、それは深夜ドラマだからこそ成立するものである。
原作と福田組のノリが一致した「銀魂シリーズ」がむしろ稀有なのだ。
今作は福田組特有のクセは薄まっていた。原作に対するリスペクトもみられ、漫画原作の実写化という点では普通である。
その中で吉沢亮と中川大志は演技力がずば抜けており、橋本環奈のコメディエンヌぶりと相まって物語を強く牽引している。
作中散りばめられる謎は、声によって全て山田裕貴につながり、クネヒトも声で玉木宏だとわかってしまう。おかげで原作の持つサスペンスが弱まっている。
いたって凡庸クリスマス映画と言わざるをえない。
珍作怪作の類であり、もう少しクオリティをあげる事も可能だったはず。
福田雄一の次に期待しよう。
「新解釈三国志」以上
「銀魂2」以下
