武倉悠樹

チーム・ジンバブエのソムリエたちの武倉悠樹のレビュー・感想・評価

3.0
 てっきり劇映画だと思っていたので、ドラマチックさの薄さにおどろいたのだけど、なるほどドキュメンタリーだったのね。政変のあったジンバブエの難民が、お金が掛かるハイカルチャーなワインの世界に魅せられていくことに新鮮さを感じるという構図そのものに醜悪さを覚えなくもないが、それは少しうがちすぎな見方かな。

 彼らのチャレンジもそうだけど、それよりもワインのテイスティングの世界ってすごいなーと思いながら見ていた。世界中にどれだけのワインがあって、出題範囲にされるものに関してどういうコンセンサスがあるのかはわからないけど、飲んだことのあるワインの味を思い出すだけではないこと明らか(飲んだことがあった方が有利ではあるのかも知れないが)。とすると、ワインの世界にはそのワインを形容するボキャブラリーと表現の、膨大かつ厳然としたプロトコルがあり、そのプロトコルに当てはまるデータベースに登録されたものをすべて覚えておき、その場でテイスティングしたワインとそのデータベースをすり合わせるって作業なんだろうか。なんかクイズっぽいな。例えば山梨あたりの道の駅で醸造したワインなんかは出題範囲ではないわけで、特定の職業に従事した人しか知らないジャーゴンなんかをクイズに出題しても「いや、知らねえし」ってなるのと同様、その外延が誰によってどう決められてるんだろうなとか思ったり。
武倉悠樹

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