ねむろう

チーム・ジンバブエのソムリエたちのねむろうのレビュー・感想・評価

3.1
2023新作_065


ワインを飲んで、"故郷"を想う。


【簡単なあらすじ】
“ワイン真空地帯”のジンバブエ共和国から、4人のソムリエが「世界ブラインドワインテイスティング選手権」に初参戦する珍事が起きた。ジンバブエから南アフリカに逃れた難民かつ黒人の“チーム・ジンバブエ”を迎え撃つのは、“神の舌を持つ”23カ国の一流ソムリエたち。先進国の白人が多数を占めるスノッブな世界に、故郷ジンバブエの威信をかけて乗り込んだジョゼフ、ティナシェ、パードン、マールヴィン。クラウドファンディングの支援を受けてワインの聖地フランスのブルゴーニュにたどり着いたものの、限られた経費で雇ったコーチは久し振りの晴れ舞台で大暴走。浮き足立つ“チーム・ジンバブエ”の波乱に満ちたスリリングなワインバトルの結末はいかに!?


【ここがいいね!】
2000年代中盤から終盤にかけて政治が大きく傾き、経済も大きなダメージを負ったジンバブエから南アフリカにやってきた人たち。その中でも、南アフリカでワインに精通する人々がチームを作って、ソムリエの大会に挑むという作品です。作品内では、様々なワインの名前や産地が出てきて、非常に面白く見ることができました。
さらに、この「チームジンバブエ」がどのようにこの大会に臨んでいくのか、そしてメンバーそれぞれの生い立ちが描かれていくことによって、メンバーの思いだったり、ジンバブエという国が背負っている問題が浮き彫りになるというところは、「ワインの映画」という側面も持ちながら、社会の問題をも射程にとらえた映画だったとも感じます。



【ここがう~ん……(私の勉強不足)】
ワインの名前や産地が出てくるのですが、結局それが「名前だけ」「言葉だけ」になってしまっているため、それがワインの歴史の中でどのような立ち位置なのかということがいまいち伝わってきませんでした。そのため、大会でとても難しい問題を解いたとか、とても簡単な問題を間違ったといったところが、観ているこちら側にはあまり伝わってこなかったです。
もちろん、それを説明しすぎてしまうと、教養やエンターテイメントに振ってしまうところはあるため難しいところではあるのですが、この産地のこのシャトーのワインというのは、こういう特徴があって、こういう歴史があってということを少し入れてもらうだけでも、こちらとしても少し入り込めるのように思います。



【ざっくり感想】
「グルメ」を扱った映画は、当たり前ではありますが私たちは味わうことができません。そんなテーマをどのように映像でカバーしていくのかというところが「肝」で、今作はそこをある程度カバーできていたというところはありますが、十分ではなかったように思います。しかし、今回主人公として挙げられていたチームジンバブエの人たちが、どのような思いを持ってこの大会に臨んでいたのか、ワインに臨んでいるのかというところは、非常に伝わってくる映画でした。
ねむろう

ねむろう