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探偵マリコの生涯で一番悲惨な日のSQURのレビュー・感想・評価

1.0
この映画でしか観ることのできない映像やシナリオがなにひとつなかった。
B級映画的な奇抜な設定を用意しておきながら、ここまで完全な虚無をつくれるのはすごい。

『探偵マリコの生涯で1番悲惨な日』と題名にあるが、内容的には数日に渡る物語になっているため、個人的に鑑賞前に期待していた"カオスでドタバタな1日"的要素はなかった。じゃあ「1日」ってなんのことなんだよ、と考えたとき「もしかして、この日のこと?」と思い至る日は作中出てくるのだが、「悲惨」と雑にまとめるとなけなしのシナリオさえ無碍にしていることになるので、私の勘繰りすぎだと信じたい。
また、探偵とあるが、推理要素は皆無で、調査要素すらほぼないに等しい。
探偵でも、1日でもない。ちなみに予告編で匂わせている宇宙人要素もほとんど関連しない。さすがに不誠実だと思う。

難解なわけでも稚拙なわけでもなく、ただただ空っぽな作品で、毒にも薬にもならないという言葉がこれほどまでぴったりな映画には初めて出会った。
群像劇ではあるもののそれぞれの登場人物の物語が完全に独立しているため、鑑賞終了時にそれらが統覚されることで、新宿という街をあらわす物語として立ち現れるということもない。
新宿映画なのに、新宿という街を印象づけるようなカットがないのは致命的。
伊藤沙莉目当てで観にきたようなところもあったのだけど、俳優の演技すら満足に写してはくれない。ここまで徹底してなにもないのはすごく、消費社会に対するなんらかの現代アート的な意匠があるのかもしれない。
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