真田ピロシキ

ミュータント・タートルズ ミュータント・パニック!の真田ピロシキのレビュー・感想・評価

3.4
時々イーロン腐れSNSのスペースなどで話す人たちが褒めてるのを見て時間も合うし鑑賞。タートルズに特別興味はないが、90年代にゲーム等で触れてたのである程度は分かる。スプリンター先生、エイプリル、シュレッダー。本作はCGアニメーションだが、非常に手描き感の強い荒々しくぐにゃぐにゃした作風になっていて、漫画がそのまま動いているようで雑多な魅力に惹き込まれる。それでしばらくは見入っていたのだが、だんだん退屈さを覚え欠伸もしていた。

まず自分はヒーローという様式を楽しむ感性がもはやほとんどない。特撮や巨大ロボットと同様に特殊な感性を持ち合わせていないと楽しめないニッチジャンルという位置付けとなっており、大筋としてはどこかで見たような話としか映らない。しかもこれは何度目か知らないリブートだかなんかでしょう?全く知らないキャラと物語ならまだしも、イメチェンしたエイプリルを見せられたところで、それだけで物語への興味が大幅に増すことはない。

次にティーンエイジャーという特性を反映させるように様々な実在する映画や音楽、漫画の名前が引用されるのだがこれが死ぬほどウンザリする。私は『レディプレイヤー1』が大嫌いな人間なので。これが各々のキャラクター性や物語に不可分なものとして引用されてたならナイスな展開と思うだろうが、ひたすら有名なものばかり挙げられてて浅いとしか感じられない。分かりますよ。有名作品じゃないと伝わらないことは。自分が書いてる二次創作小説でエピソードタイトルを既存の歌から取ってるが、そこはある程度知名度があると思われるとこからにしてるんで。だけど個人的な心に核として残る宝物のような作品は、誰もが知ってる有名作品よりそうでないものの方が多いので、メジャータイトルを連呼されるとニワカかよと。ヒット作だけ優遇するつもりの赤松健やマリオの映画でマウント取ってたキモオタオッサンが頭をチラつく。つーかオタクが嫌なんだ。オタク黙れ!進撃の巨人もNARUTOもAKIRAもうるせーっつの。漫画より大谷翔平の話でもしてくれてた方がいい。スプリンクラー先生の声優がジャッキーチェンなので使われていたジャッキー映画は意味があったと思うが、それ以外はレディプレイヤーと同じくただのサブカル検定と感じることが多かった。

そういう訳で低調だったが、スプリンクラーとスーパーフライがどちらも子供及び兄弟をコントロールする毒親的に描かれていて、互いに外界への恐れから家族を保護の名目で隔離していたのが、他人を信じられたスプリンクラーは更に家族が増え、憎み続けたスーパーフライは全員に去られるのは上手い脚本だと感じた。それとクライマックスにおいて巨大化したスーパーフライを倒すのはミュータント達と市民によるバトンパス。これはミュータントと人間の垣根が取っ払われた演出であり、ヒーローに委ねないピープルパワーも描かれててマーベルやDCの実写映画より良いと思う。ライミのスパイダーマン2を少し思い出した。ただ、指摘している人がいるように役に立ったからマイノリティが受け入れられたとなっているのがこのジャンルの限界でもある。やはり自分にはもうこの手の物語は必要ない。