夜ノ砂

湯道の夜ノ砂のレビュー・感想・評価

湯道(2023年製作の映画)
2.5
ストーリー展開が単調で最高に面白くない。脚本が弱いよ、ツッコミどころ満載だよ。退屈この上なく、開始20分で退席しようかと本気で考えた。予告編ではドタバタ劇かと勘違いさせるけど、本編観たら全然違ったよ。

入湯文化の描写にしてもさほど情緒を感じない。日本のマジョリティが「自分たちの文化ってすばらしい」と再確認して満足するだけの“和人スプロイテーション映画”としても成立していないのではないか。

昔観た韓国ドラマの日本の温泉シーンの方が遥かに味わいがある。仕事の後に湯を浸かり心身ともに解放される様子が伝わってきたものだ。

その上、冗長。鑑賞中一ミリたりとも「いいよね、銭湯」っていう気にもさせてくれないし、笑えもしなければ感動もしない。そんな作品が上映時間140分(映画館の表示による)もある。休日の暇つぶしに観るにしても無駄に長過ぎる。

「湯道」―。入浴行為を華道や茶道などと並ぶ「道」として作法を学び極める。紅葉を背景とした和室で脱げば細マッチョの男が湯船に浸かるまるで武道の形のような所作を弟子たちの前で披露する。弟子たちは感激。見方によっては滑稽でしかなく、「湯」を文化として尊びたいのか茶化したいのか作り手の意図がわからない。

レトロな銭湯「まるきん温泉」。薪をくべたり、開店準備などを描いてリアリティを出そうとしてはいるが、秋山いづみ(橋本環奈)が銭湯バイトしている理由に筋が通ってない感じがするし、そもそも銭湯って二人だけで回せるものなの?と疑問が湧いてしまう。

そのあたりは人情劇であればまあ許せるんだろうけど、人間ドラマは弱いし、挙げ句「あなたにとって○○とは」というインタビューで一番やっちゃダメな例(by 吉田豪)をセリフに盛り込む不自然さ。

いづみがいなくなってからの展開と設定の無理矢理感、さらに「失礼な評論家」に常連客全員(なぜか集合している!)で反論を試みるアマチュア劇のようなお粗末展開などツッコミどころを出せばキリがない。

そもそも21世紀に旧式の銭湯をテーマに描くっていうこと自体が無理ゲー。だからこそ慎重かつ丁寧に描かないといけないのにいろいろ放棄して、上っ面だけをなぞっている感がある。

それでも頑張って最後まで観た人だけに環奈の全裸風入湯シーンが見られるご褒美が待っている。

まあ、生田斗真をはじめ男の裸は序盤から山ほど出てくるけどね。頭とかで股間を隠すカメラワークが無駄に高度。画は変に凝っているのよね。

環奈の看板娘役は、演技がさりげなくて良かった。
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