滝和也

鉄人28号の滝和也のレビュー・感想・評価

鉄人28号(2004年製作の映画)
2.8
ビルの街にガオーン!♪
夜のハイウェイに
ガオーン!♪
(中略)
ある時は正義の味方♪
ある時は悪魔の手先♪
敵に渡すな
大事なリモコン♪

ビューンと飛んでく♪

「鉄人28号」

ロボット漫画の始祖であり、SFアクションの金字塔である横山光輝大先生の原作をン十年ぶりに実写化してしまったカルト作品。そのポンコツぶりから敢えてカルトと呼ばせて頂きたい珍作のご紹介です(笑)

ある日巨大な腕が有名な元IT企業家の自宅の屋根を突き破り何処かに消える事件が起きた。その頃、金田正太郎は母と平和な暮らしをしていたが、怪腕が飛ぶのを目撃、同時に黒い怪ロボットが芝増上寺に着陸。程なく合流した腕が合体。東京タワーをねじ上げ破壊、街を低空飛行し、正太郎の母は重症を負う。その最中、正太郎は綾部と言う老人に連れられ父正一郎の研究室に入る。そこには巨大な鉄塊、鉄人28号が眠っていた…。

激突!ブラックオックス対鉄人!

原作内では人気のエピソード、不乱拳博士が作り上げたブラックオックスとの対決を描いた訳ですが…ストーリーもプロットも全く違います…。

まずプロットからしてかなり無理無理に変更…。原作の鉄人の様に太平洋戦争中に帝国陸軍により作られた設定のままで現代が舞台に。また原作の正太郎君は小学生探偵(コナン君みたいに隠し事なしで)であり、車も運転しちゃいますが、ただの小学生に。 これは荒唐無稽過ぎて現代にそぐわないと思ったんでしょう…。

故に父と子の絆をつけ、正太郎君の冒険成長物語に…ジュブナイル化されちゃいました…。それって違う話ですよね。同じ原作者の…。

それはジャイアントロボだから…(笑)

ジャイアントロボですわ。ラストまでTV版のラストを模した展開で…。ジャイアントロボはリモコン奪われても生体認証で他者は使えないため大作少年が狙われますが…正太郎君にはそれがないので戦う理由が必要で父との絆を入れたんでしょう。でも子供が危険地帯で操縦する理由としては弱いですよね…。誰でも操縦出来て、リモコンを敵に奪われると敵になると言うのが鉄人の面白さですが…そこへの言及は全くなしで…。

正太郎君が余りにイジイジしていて、ジュブナイル部分がやたら厚みがあって鉄人の活躍はほぼ初めと終わりだけ…。原作はほぼバトルモノ(笑)でSFアクションの名に恥じない内容ですから、違い過ぎ…。

肝心要のロボット対決がスーパーファミコン並のCG(笑)

セガサターンなら遥かにマシです。バーチャロンを遥かに下回る鉄人、ブラックオックスの動き、アクション。棒立ちの人形が殴りあうレベルで…アクション部分は目も当てられない外連味、迫力の無さ…(T_T)

また無駄に上手い有名な役者だらけたから、更に始末が悪い…。ラストサムライの好演から抜擢されたのは主役正太郎君役に池松壮亮。イジイジした演技が旨すぎてエヴァンゲリオンのシンジ君、リアル版。そっくりの台詞までありますからね。蒼井優が天才美少女エンジニアで出てきますが、いても居なくても良い役(笑)香川照之、中村嘉葎雄に阿部寛、薬師丸ひろ子に柄本明と有能役者が目白押しで全員黒歴史化してしまうチープ過ぎるストーリー…。演技プランなんかいりませんからね。これでは…。

要は中途半端で早すぎたんですね。いっそ原作通りに時代設定して、ゴリゴリのCGを使ってプロットを同じにしてレトロ感をだしてしまえば良かったんです。そうなると早すぎなんですね。CG技術も予算も足りない…。やりようがないものを無理矢理作ってしまったんです。現代を舞台にすると無理設定だし、中途半端なレトロ感は足を引っ張ってますからね。

唯一良かったのはオープニングとラストの鉄人28号アニメ版そのままの主題歌ですからね…。誰が対象なのかさっぱりだけど…。子供たちは知らないし、親世代も多分わからない(笑)おじいちゃんならわかるかもだけど…。

完全リメイクをファンとしては要求します。シン・鉄人28号なら見ても良いかな(笑)
滝和也

滝和也