とある海辺の町にあるお弁当屋さんで働きだした元風俗嬢で、源氏名が浸透するなど経歴を隠そうとしないあけすけとした性格が周囲の人から愛されて看板娘になった「ちひろ」。そんな彼女に惹かれていく母子家庭の少年や家族に遠慮しながら過ごす女子高生、街角で出会ったホームレスの老人、元同僚たちとの交流を描いたドラマ映画です。
テレビドラマ化された『ショムニ』や『紺野さんと遊ぼう』を始めとして、OLや女子高生といった属性に対するステレオタイプを覆すような特徴的な女性キャラクターを主役にした物語を得意とする安田弘之の漫画作品を、Netflixが近年の活躍目覚ましい今泉力哉を監督に据えて映画化した作品で、人気者の有村架純の主演で話題を集めました。
漫画らしい一風変わった主人公がレトリックで盲点を突いてハッとさせる作品で、投影しやすい悩みを持つ周囲の人が浄化される様で共感を誘います。一方で練られた台詞回しが現実的な人間味を削いで「風俗嬢＝フレンドリー」の別のステレオタイプに陥っている感もありますが、掛け合いを得意とする今泉監督の演出でカバーする一作です。
