元風俗嬢、現弁当屋のちひろさんが、いろんな人のさびしさに寄り添う物語。
ちひろさんのバックグラウンドがそこまで詳しくわからないのがよかった。それでいい。
人が楽しそうにしているのを観るのが好き、輪に入らなくてもいい、深い関係を求めない。自分らしく居るために、そんな生き方を選んだのかな。
この映画を観て「よかった」と思った自分も世の中のたくさんの人も、ラーメン屋のあの人みたいな種類の感情を、一ミリも持ったことがないかというと、ほんの少しは隠し持ってると思う。それが人間だと思う。
ちひろさんに共感しても、実際にちひろさんのように誰かのために生きるのは難しい。
日本の港町を舞台にして、ドキュメンタリーのように淡々と静かな映画だけど、少しだけSFっぽさを感じたのは、ちひろさんの存在が非日常だからかな。
所々で「月」が登場するのは、ちひろさんのことを表してるみたいでよかった。太陽の光を反射して、孤独に輝く美しい存在。
出てくる人の笑顔がみんな素敵で、癒される。メッセージも説教臭さもない、「ただそこにある」ような映画で、心地良かった。
ご飯が美味しそうだと思ったら、やっぱり飯島奈美さんだった。