ちひろさんのゆうのレビュー・感想・評価

誰にも寄りかからない、猫のように捉えどころのないちひろさんがみんなの孤独を癒していく。漫画原作だけど、このストーリーは会話群像劇得意な今泉監督にドンピシャって感じ。本来の居場所がない人たちが寄り添い合う、擬似家族のような。ゆったり流れる空気感がとても良かった。

同じ人間だと期待するから、寄り添おうとするし、理解し合おうとするし、それ故に違うことが受け入れられずに傷つけ合う人たち。だから皆、理解も恋愛も馴れ合いもしない代わりに、そうだねって言ってただそこにいてくれるちひろさんに惹かれるものなのかね。

個人的には他人同士なんて分かり合えない派なのでとても共感。でも最終盤のシーン、宇宙の何処か同じ星から来てこの広い世界で運命的に巡り合った美しい2人を見たような気持ちになった。共に時を重ねて歩む。暖かな庭先と美しく老いた2人。いや〜参ったね。このシーン見るためにこの映画観る価値があると思う。

冒頭、あくびをする有村架純のお顔が美しすぎる。美味しそうにお弁当を食べる顔も良すぎる。ただこの面接はちょっと罠じゃない？？

オカジの家のヤバさ・閉塞感・鬱屈とした感じを暴力とかを出さずにここまで表現するのはすごい。これは嫌だわ。

若葉竜也完全に良い思いするためだけにキャスティングされてないか…？？おいおい…おいおいおいおい…

永遠に誰とも分かり合えない人間は、ちゃんと孤独を自分の中に持って生きていかないといけないのかもしれない。