ちひろさんのdのレビュー・感想・評価

キャラクターが平板。風俗上がりのお姉さんを有村架純にやらせてるわけだけど、「そういう人」を撮りたいというような「趣味」がダダ漏れで、描きたい対象への愛がまったく感じられない。そもそも描きたい人像が既にあって、それを投影したいだけにしか感じられない。カメラを持つことによって対象に迫っていくような、他者への倫理、映画のダイナミズムがない。
寓話的な作品を作るにしても、作中の人間が生きている映画というのもある。それは人間そのものへ真剣にまなざしを向けられるか否かの違いなんじゃないだろうか。