強く、逞しく生きる孤独な女性。
たくさん辛い思いをしたうえで、腹を括って日々をたのしむ。
淋しさを紛らわす為に盲目になったりしない。目の前の現象にきちんと向き合って、救える存在があるなら迷わず救う。
“ちひろ”は死の淵で幸運に恵まれ、辛うじて乗り越えることのできたひと。生と死にある種の割り切りがあって、達観している。だから、人の痛みに適度に寄り添うことができる。
「死の克服」と「寄り添い」の象徴。
ちひろは孤独なひとをよくみつけるし、孤独なひとはちひろをみつける。
そんな他の人物たちも、皆それぞれに寄り添いを必要とする弱さと問題を抱えてる。
彼らは、ちひろを動力にして互いに関係し合って、ゆっくりと回る歯車のように寄り添いあう。
全ての人物に共感を抱いてしまう。
今泉力哉監督は、誰もが抱えている様々な要素をうまく分離させキャラクタに振り分け、
上手く関係させてる。
だから、「わたしがわたしに寄り添い、救い、救われる物語」とも言えると思う。
大好きな物語でした。
オカジとマコトだっけ、あの二人の関係がすごく微笑ましかった。いい演技をするなぁ。
自分が抱えてる辛さをまるで感じさせない陽気さ、無邪気さ。辛いから辛そうにするのは違うよね。辛いから、辛くない瞬間は思いっきり楽しみたいものだよ。
そしてちひろは、愛着のような感情を抱いているのか、自身の“孤独”に対しても寄り添ってしまう。ほんとは沈んじゃうほど寂しいのに、ずっとひとりだったから、“独りを見捨てられない”。
そういうものだよね。