mashita

ちひろさんのmashitaのレビュー・感想・評価

ちひろさん(2023年製作の映画)
3.8
優しいのは傷ついてきたから。
優しいのは何かに許されたいから。
優しいのは自分が救われたいから。

孤独を抱える人達は彼女の優しさに触れ、
孤独ではないことを認識する。
それはまるでカーテンの隙間から朝日が
差し込むように閉ざしたはずの心の隙間にそっと
手を差し伸べてくれるよう。

話し方、振る舞い方、触れ方、
彼女と繋がった人達の時間を柔らかな絹で
包み込んでくれる。

きっと彼女もそれらに救われてきたのだと思う。

しかし、その繋がりが強固になればなるほど
孤独が霧の中に消えていけばいくほど、
彼女は孤独を手離すことによって、
孤独が迎えに来ることを恐れる。
そうなる前に自分から去ることを選択する。

この映画はちひろと一生消えない傷と孤独を
距離と付き合い方で表現されている。

ふと、孤独を感じた時にそっと優しさを
届けてくれる作品。
mashita

mashita