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サイレント・ツインズのrebのレビュー・感想・評価

サイレント・ツインズ(2022年製作の映画)
4.0
ポーランド映画祭2023で鑑賞。
「ゆれる人魚」でハマったアグニシュカ・スモチンスカ監督のトークあり。
1963年イギリスのウェールズ地方でジューンとジェニファーという一卵性の双子が産まれる。両親はカリブからの移民。
学校では黒人がおらず、からかわれいじめられた2人は、固く口を閉ざすようになり、2人のあいだでしか会話を交わさず2人だけの世界に閉じこもる。
この双子のことは、イギリスでは有名らしく「沈黙の闘い〜もの言わぬ双子の少女の物語」というノンフィクションも出版され、ドラマ化や劇化もされているらしい。
“場面緘黙症“という、言葉を話す能力がありながら特定の状況で話すことができなくなる病があるが、この2人の場合は相当な強い意志のもと、沈黙を貫いていたように思われる。まさに“沈黙の闘い“
2人は口をきかない代わり、膨大な量の日記や小説を書いていて、その豊かな想像力の産物を、監督はお得意のファンタジーやグロ表現を駆使して見事に描いてくれていて素晴らしい。
べったり仲が良かった2人は、思春期を迎えるとお互いに強い劣等感を抱くようになり、嫉妬したり憎み合ったり、離れたいのに離れられないというジレンマに苦しみながらも、2人だけの世界で全ては正当化され歪み、ついには犯罪を犯してしまう。
新ブラック・パンサーとして活躍中のレティーシャ・ライトが妹のジェニファーを演じ、姉役のタマラ・ローレンスと見事な愛憎劇を見せてくれている。
上映語のトークで監督は、2人はとても仲が良かったが、ケンカするとそれは激しくそして長引いてしまったと話していた。
ノンフィクションぜひ読んでみたい。
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