クラウドアトラスみやちゃん

戦地で生まれた奇跡のレバノンワインのクラウドアトラスみやちゃんのレビュー・感想・評価

3.2
原題は「WINE and WAR ワインと戦争」

みなさんはレバノンという国を知っていますか?岐阜県程度の面積に560万人が暮らす中東の小国であり、シリアとイスラエルに国境を接し、人口当たり最も難民を受け入れている国、それがレバノン🇱🇧なんです。
近年ではカルロス・ゴーンの逃亡先や、港湾施設での大爆発で計らずも有名になってしまいましたが…

レバノンは実は古代エジプトにワインを輸出していたという歴史もあり、世界最古のワイン産地のひとつでもあります。その起源は5000年以上前にも遡り、現在も約50のワイナリーが点在しています。(レバノンの遺跡からはワインの圧縮機や足踏みの為の樽が発見されている…)

ワインの収穫に因って人類はジプシーの様な遊牧民から定住をすることができたとされていて、それは目から鱗でした。神様と人間を繋ぐ唯一の接点が実はワインだったのではないかという説もあるくらいなんです。
葡萄が熟成すると発酵を始め、それがワインと成る訳ですが、これは葡萄の皮に付いた細菌に因って自然と発酵するものであり、そのメカニズムから実は人類誕生以前からワインはその生を育んでいたのですね。

本作は戦争に翻弄されながらも不屈の精神でワイン製造を続けてきたレバノンのワインメーカーたちにスポットを当てたドキュメンタリーです。

ワインメーカーとしては「レバノンワインの父」と称されるシャトー・ミュザールの2代目セルジュ・ホシャールをはじめ、内戦中にワイン製造を始めた修道院の神父や、虐殺が起きた故郷の村を再興させるためにワイナリーを続ける夫婦らを紹介しています。
戦争という過酷な状況下でもワインを造り続けてきた11のワイナリーの人々が、その人生哲学や幸福に生きる秘訣を語ってくれます。加えて「食べて、祈って、恋をして」の著者でレバノンワインを愛する作家エリザベス・ギルバートなどにも話を聞いています。

実は本作、上映館がとても限られていまして東京だとアップリンク吉祥寺でしかやっておりません。
でも、ワインが好きだったり、戦争に屈しないワインメーカーのど根性だったり、興味がある方はぜひぜひ吉祥寺へ足を運んで下さいな。駅から徒歩5分足らず、PARCOの地下2階に素敵な劇場がありますよ。
期間限定でレバノンワインも販売して居ります。