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リーサル・ウェポンのくまのこころのレビュー・感想・評価

リーサル・ウェポン(1987年製作の映画)
4.0
▼作品の見所

メル・ギブソンとダニー・グローヴァー、二人が見せる名コンビっぷりは30年経っても色褪せない!!

相反する二人のコンビネーションが本来の見どころなんだけど、作品を面白くしているのは前半から後半への持って行き方、そのうまさにありそうだなと数年ぶりに見て気がついた。

ヒット作ではなく、何回見ても面白い名作なので、そのあたりのレビューを残しておきたい。

▼前半、中盤、後半の3部構成

この作品は3部構成なんだと思う。

前半で事件は起きるが、捜査そっちのけで二人のキャラ・人物像に焦点が置かれてる。ネタバレするのでぼかして書くが、前半ではこの人たちってどんな人?ということに観客が集中することができるつくりになっているのだ。

▼コンビものあるある=真反対の二人!

他にもコンビモノの映画はあるが、他の作品でもよくみかけるように二人は悪いやつと対峙するという方向性以外は真反対に見える。

妻をなくして自殺願望の強いリッグスをメル・ギプソンが演じている。

彼は跳ねっ返りの一匹狼で、自殺願望があると言われてる。指摘されると町のドライバーなんてみんな自殺願望があるんだろうと返してくる皮肉っぷり。犯人もすぐに撃ち殺しちゃうので相棒によく怒られている。

一方で特殊部隊あがりだけあって銃にはめっぽう強いし格闘戦も得意だ。突拍子もない推理や作戦を立てる能力もあって相棒を唸らせる一面もある。頼もしい特攻野郎ってところだろう。

そんな特攻野郎の相棒マータフは、ダニー・グローヴァーが演じてくれた。家族に恵まれ人望も厚く、署内での地位も高い刑事だ。

彼は犯人が撃ってきても足を狙って殺さない強い倫理観の持ち主で、リッグスのことはイカれてると思ってる節もある。

一方で完璧人間でもなく、リッグスの銃の旨さに露骨に悔しがったり、奥さんの料理のまずさについてリッグスに共感してもらおうとネタふりしたり、そんな人間味ももっている。

敵に取り囲まれても手榴弾片手に張り合える肝っ玉さも備えていて、いざというときに頼りになるおやじだ。

▼コンビモノのお決まりの展開だが

コンビモノって、最初は二人の反りが合わなくてぎくしゃくしつつも、最後は悪の手先を倒すのがお決まりだ。

この映画もコンビの連携でクライマックスに向かっていく。最初はそりはあわないが、なぜくめるようになったのかもわかりやすいエピソードがあり、ラスボス戦に向かっては二人の見せ場がそれぞれきっちりとってあってコンビもの好きにはたまらない内容だ。

ただ、見返してみると思ったよりもあっさりとボス陣を倒してしまう。それでも、面白いなと思わせるのは、前半から後半に切り替わる中盤の場面展開、持って行き方がうまいところにあると思う。

▼中盤の作りの良さ

私が中盤に入ったと捉えているシーンは、2人が事件の中である仮説に気がついて、踏み込んだ捜査に入りだしたあたりだ。

特に、容疑者だと思われる家に訪れるシーンが中盤のポイントになっている。

ネタバレしないようぼかし続けてみるが、直前の爆発シーンは序章に過ぎない。爆破を目撃した子どもたちの中に犯人の目撃者がいるとわかった段階でもまだほのぼのしてるからだ。

リッグス役のギブソンは爆弾の起爆装置がプロの仕事だと興奮していたが、マータフ役のクローヴァーが子どもたちに話を聞きだしてるときはあんた、保父さんになったのか?なんて感じでオヤジいじりをして楽しんでいて、平和感がまだまだこぼれている。

子どもたちも、刑事さんに話したら逮捕される!喋っちゃだめ!とか言ってるのに、お友達がついうっかり目撃した友達の年齢とか名前を喋ってしまうというおとぼけぶり。平和で美しい光景だ。

しかし、マータフの質問から、犯人は白人である、背は高い、体にイラストがあった、それは入れ墨である、といった情報、そして、リッグスと同じ入れ墨で、特殊部隊のものだとわかったことで、追っていた事件は単なる殺しではなくかなり厄介な事件だと判明する。

見てる側は、マータフと子供、マータフとリッグスとのやりとりの中でさっきまではほのぼの美しい世界で過ごしていたはずなのに、世界の足元はどす黒い暗黒の世界で侵されている事に気がつくのだ。

この演出で僕らは、デカ二人のコントを見るモードから二人が悪をどう倒すかに気持ちが切り替わっていく。

しかし、そうかんたんには倒せない。クライマックスに向けておきまりの試練がまっているからだ。(ここを抜けると案外あっさり倒しちゃうんだけどね。)

▼試練の先に終盤がある

誘拐、砂漠の戦闘、拷問、悪の世界野オンパレードである。自分は砂漠の戦闘が始まる前に見た、相手方の縦列移動(ヘリとリムジンを組み合わせた車列)の異様さに、暴力を感じた。

さっきまで、お花畑にいたのに、戦場にかわってしまった。そんなかんじである。

マータフとリッグスは立ち向かえるのだろうか?後半は、二人がこの試練からどう抜け出すのかが見どころだ。まだ見てない人は楽しんでほしい!

ーめもー

料理うまったか?
いや?
↑このやりとりがすき
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