ねむろう

ナナメのろうかのねむろうのネタバレレビュー・内容・結末

ナナメのろうか(2022年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

2023新作_137


その家には、
懐かしさ"だけ"がありました――。


【簡単なあらすじ】
改装される予定の祖母の家に来た姉妹、聡美と郁美。妹の郁美は妊娠し、シングルマザーになる決意をしていた。2人は家に残された物を片付け始めるが、昔遊んだおもちゃ箱を見つけ、こどもの頃のように遊び始める。しかし、お腹の子どもをめぐってお互いの溝が露わになり、2人は家の中ですれ違い、会えなくなってしまう。嵐の夜の中、姉妹は暗闇の中でお互いを呼び合うのだった。



【ここがいいね!】
約40分ぐらいの短編の中で、多様な生き方や女性の生き方というものが描かれ、さらにそれが望んでいようと望んでなかろうと多様になってしまっているということが表現されていました。
そしてその反面、多様でなかった頃を懐かしく思ってしまう感情も描いています。上映時間が短く、なるべくセリフも絞られていく中で描かれた、非常に研ぎ澄まされた映画だったと思います。
介護施設に入るおばあちゃんのことを懐かしく思いながら、成人してしばらく経ったおそらく30代から40代ぐらいの二人の姉妹が、何気ない会話をしながらも、その裏で決定的な「ズレ」が起こってしまっていて、それはもう取り返しがつかないものになってしまったという表現が素晴らしかったです。
ほのぼの昔の懐かしい思い出を語っていたと思ったら、いきなりドキッとしたり、もはやホラーになっていく話運びは、短編だったからこそさらに研ぎ澄まされていたと思います。



【ここがう~ん……(私の勉強不足)】
もちろん短い時間での作品ですので、いろんなものを描ききることができないところはあったのかなと思います。
さらに、作品では姉と妹の二人しか登場人物はいません。しかし、それぞれが喋って、時に同時に何か物音も入るというタイミングがありました。二人の会話とやっている作業によって立つ音がかぶってしまって、何を言ってるかわからないということがあり、まさに「ノイズ」になってしまっていた部分もあります。



【ざっくり感想】
非常に不思議な気持ちになる作品でした。
私もまだ人生経験が多いわけではないですが、あの頃は良かったとか、もうあの頃とは違うね、というようなことを、ふとした時に友人はおろか兄弟の中で感じてしまうことがあるのだろうなと思う作品でした。
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