踝踵

ゼイラムの踝踵のネタバレレビュー・内容・結末

ゼイラム(1991年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

すごく惜しいと感じる部分があるが、ゼイラムのデザインと特殊撮影が極地を行っているのでほぼ満点。

今見ても古さを全く感じさせないゼイラムのデザインがカッコ良すぎる。脚本のテンポがやや悪く感じてもお釣りが出るくらいキャラクターの造形が魅力的。振り返ればゼイラムはエイリアンっぽくも、プレデターっぽくも、遊星からの物体Xっぽくもあるけど「パクリ」なんて全然感じなかった、それくらい造形にインパクトがあった。やはり無感情なバイザーの光と、独特のシルエット、そして何よりキッショい能面!!!それらの特徴が他者と比べて圧倒的な独自性を作っているのではと推測している。
キャラデザが雨宮慶太、クリエイターが竹谷隆之とクレジットにあったが、てっきり全部竹谷隆之かと思ってた。

もうほぼゼイラムの造形で満足したが、脚本のテンポが悪さと「勿体なさ」がやや気になった。特に勿体ないと感じた部分は、転送装置が壊れてイリアが参戦できない状況をうまく利用しなかった点である。
転送装置が壊れたイリアは神谷と哲平の2人に対して「あなた達にゼイラムを倒してほしい」とお願いするのだが、このセリフはますます物語を盛り上げる、一種の起爆剤だと言えると思う。なぜならこのハプニングの前に、イリアとゼイラムの激しい戦闘を観客は見ているので、いかにそのお願いが鬼畜の所業であるかを観客は直感的に理解できるのである。そして観客は自然と2人に感情移入し、絶望するのである。
それくらい印象的な転換点なので、例えばイリアの約束通り、無理ゲーそうに見えた戦いになんとか電気屋の知恵を振り絞ってゼイラムを倒した!…というのがあればB級なりの超熱いシーンになると思うのだが…結局全部イリアに助けてもらっていたので面白みが少ないと感じてしまった。何回もイリアが助けに来るのでちょっと飽きる。

本当に惜しいと感じる部分はあるけど、低予算なりに面白く見える撮影の工夫が施されていて、没入感たっぷりで凄く楽しめた。
最後の記念撮影のシーンはベタだけど最高の終わり方だった。
踝踵

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