てる

ゼイラムのてるのレビュー・感想・評価

ゼイラム(1991年製作の映画)
3.8
あれ? これ面白いじゃん。
もしかして雨宮慶太の最高傑作なのでは?

雨宮慶太の作品って面白くない。どれも中2病なんだよね。世界観や細かい設定が甘いし、人間の感情の動きが幼い。この監督は子ども向けの作品を撮っていればいいのにと思う。
だけど、唯一良いのはデザインだ。雨宮慶太の書くデザインは中2病心をくすぐるのだ。
今回のゼイラムのデザインもカッコいい。笠を被ったような黒いデザイン良いよね。

冒頭のシーンはカッコ良かった。やりたいことはよくわかる。たぶんアニメで製作したならさぞかし面白かったことだろうが、実写で、しかも1991年の特撮では限界があるよね。
そう、この作品は特撮なのだ。たぶん『エイリアン』を観て、これを撮りたいと思った雨宮さんが企画を進めたのではないだろうか。雨宮慶太版エイリアンと言っても過言ではないだろう。中2病全開のエイリアンだった。

でもさ、その中2病が丁度いいよね。ゼイラム何回復活するんだよ。ハラハラドキドキしたよね。なんか『学校の怪談』を思い出した。あと、『劇場版 天地無用! in LOVE』ね。子どもは出てこないけど、この作品は子どもが観るには丁度いい。夏休みとかに観せたい。

ツッコミどころは山ほどある。そもそも宇宙人がなんで地球人の女の姿形をしていて、日本語しゃべってるの? とか、ゼイラムは結局手持ちの銃で倒してるし、あんな大袈裟な銃要らなかったじゃんとか色々言いたいことはあるんだ。でも、雨宮慶太の作品ってその辺の設定で興醒めすることが非常に多くあるんだけど、この作品はその興醒めが少なかった。素直に面白かったと言えよう。

こういう昔の特撮っていいよね。現代はCGの技術が発達しすぎてしまった為に、こういった古くさい作品が陽の目を浴びることは中々ないとは思う。だが、こういった作品は、それはそれで味があると思うのは私だけだろうか。人間の手で作られた造形物だからこそリアリティーがあるし、温かみがあるように思えるのだ。
こういった作品を発掘していきたいよねぇ。
てる

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