あなぐらむ

霧笛が俺を呼んでいるのあなぐらむのレビュー・感想・評価

霧笛が俺を呼んでいる(1960年製作の映画)
3.6
赤木圭一郎の代表作的位置付けの作品だが映画の展開は鈍く、活劇としては奮わない。脚本の熊井啓が描きたいのは麻薬被害を巡る問題提起の方で、その手段としてムードアクションを利用している感じだ。

せっかくの芦川いづみも戸惑う芝居ばかりで精彩を欠くが、その美貌の磁力は強い。
トニーもガンマンではなく真面目キャラだと不良性感度の魅力が今ひとつ出ず(台詞も固い)、新人時代の清新な吉永小百合の儚げな美(芝居は下手)と、動きまくる姫田真佐久カメラ(鏡を利用したトリッキーな構図!)が見所という感じ。
横浜、バンドホテルのシーンはロケーションとセットを見事に組み合わせたパースを見せる。
また、オープニングの長回しの計算された配分は、カットが割られていない事を忘れるほど。このキャメラワークを見るだけでも木戸銭分はある。
ラスト、握手で終わるエンディングは「ブロークン・アロー」の元ネタ(嘘)。