1960年 監督は山崎徳次郎 脚本は熊井啓
この映画は7月に公開されている。
翌年2月、赤木圭一郎は21歳の若さで帰らぬ人となる。
赤木圭一郎は「拳銃無頼帳」シリーズなど数々のヒット作はあるが、やっはりこの映画が最高と思う。
久しぶりに横浜に戻ってきた航海士の杉(赤木圭一郎)は、幼い頃からの親友が自殺したことを知る。しかし、故人の恋人や妹などから当時の話を聞き、彼はその自殺に疑問を持ち始める。そして友の死をたぐっていくうちに、思わぬ事件に足を踏み入れていく。というストーリー。
ヒロイン美也子役は芦川いずみ。赤木圭一郎にはこの質素な芦川いずみが一番似合う。
デビュー直後の吉永小百合も重要な役で華を添えている。
日本一マドロス姿が似合う男と言われた赤木圭一郎。真っ白のマドロス姿はこの世のものとは思えない。「追憶」の軍服姿のロバートレットフォードにも負けてはいない。(ちょっと褒めすぎ💦)
このラストシーンは、今観ると、ファンに対する別れのようにさえ思える。
日活アクション映画の名シーンのベスト3に絶対に入ると勝手に思っている。
横浜。霧が立ちこめる港。
白いマドロス姿の赤木圭一郎と芦川いずみが歩いている。
芦川「今度の航海はどのくらいかかります
の」
赤木「約4ヶ月」
芦川「お帰りは冬になりますわね」
赤木「でも僕はもしかすると当分は日本
に帰りません。
悪い夢は消してしまいたいんです。あ
なたとのいい面だけを思い出せるよう
になったら、また帰ってきます。」
赤木「目まぐるしい数日で悲しいことも多か
ったけど、あなたと一緒に楽しい時も
ありました。
最初の霧の晩 ホテルの窓辺で初めて
あなたとお会いした時の霧笛が今でも
耳に残ってます。」
芦川「さようなら」
赤木、手を差し出して。
「ごきげんよう」
(なんといい言葉だろう。「ごきげんよう」熊井啓の脚本のすばらしさ。この言葉を選んだだけでただものではないと思うのだけど。)
ギターが咽び泣く。
霧笛が響く。
芦川いずみが佇んでいる。
赤木が船の上から見ている。霧の横浜。
♪ 霧の波止場に帰って来たが
待っていたのは悲しいうわさ
波がさらった港の夢を
むせび泣くよに岬のはずれ
霧笛が俺を呼んでいる
さびた錨にからんで咲いた
浜の夕顔 いとしい笑顔
きっと生きてるどこかの町で
探しあぐねて渚に立てば
霧笛が俺を呼んでいる
船の灯りに背中を向けて
沖を見つめる淋しいかもめ
海で育った船乗りならば
海へ帰れとせかせるように♪
映画は二番までしか歌わないが、この際だから三番まで書いちゃった。
2022.12.23視聴559