ふーみん

海の夜明けから真昼までのふーみんのレビュー・感想・評価

海の夜明けから真昼まで(2022年製作の映画)
1.1
固定カメラが場面を映し出す……役者が演技を行う……カット。固定カメラが場面を映し出す……役者が演技を行う……カット。固定カメラが場面を映し出す……役者が演技を行う……カット。
延々と続くこの繰り返しの単調さには怒りを覚えた。いくらリハを重ねようと、これで演技にリアリティを出そうたって無理でしょう。
少女がなぜまだ部屋にいる?というシーンでのドリー移動、"男"が驚きの声を上げた時点でわかるんだから無意味な動き。
クライマックスでの手持ち撮影、緊迫感っつーよりただ画面がブレて見にくい。
エンディングのドローン空撮、直前の水中シーンのショボさ(人形?)と引き比べて開放感はあった。
ロケ地が良かったね。トンネルも良いけど、構図・陰影・色調もなにもないからそもそも映画の世界に入れない。

ところでイエスは単に一匹を九十九匹の元に連れ戻すのではない、道を外れた一匹を救うことで九十九匹をも新たな秩序に放り込むのがイエスの革命性なわけでしょう。新秩序なんか信じない福田恆存は、どんなシステムでも一匹は嵌らない奴が出てくるわけでそいつを救い得るのが芸術(漫画も映画も)だと考えた。
原作は三様のニヒリズムを抱えた三人が、異端者のままに刹那的な救いを得る物語だ。それも「外れ者同士助け合う」みたいなサブいものでなく、エゴを押し通す欺瞞の無さが救いとなり得るってものだ。27クラブといったサブカル趣味やままごと的な自殺失敗、麻衣の売春設定の消去は、外れ者の孤独を希薄化する"九十九匹"側の鈍感さとしか思えなかったな。
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