悪魔の毒々クチビル

バイオレント・ナイトの悪魔の毒々クチビルのレビュー・感想・評価

バイオレント・ナイト(2022年製作の映画)
3.9
※クリスマスマジックです。

呑んだくれサンタがプレゼントを届けに来た家に武装集団がやって来ちゃったお話。


ちょっと前から存在は知っていましたが、まさか監督がトミー・ウィルコラとは。
何か最近ウィルコラさん、ネトフリ映画も手掛ける一方でこうした日本でも劇場公開するような作品も監督してと、これはアレですか、来ているんですか、ウィルコラブームが。

内容は期待通り…とまでは行かなかったんですけど、つまらなくは無かったかな。
デヴィッド・ハーバーはあの弛んだ腹とかが良い感じにだらけたサンタを表していて、尚且つ「ストレンジャー・シングス」を観ている身としては強面と子どもに対する優しい一面の両立の上手さも分かっているので今作の設定ぴったりの配役だったと思います。
ただフィルマとか公式の紹介文にこのサンタを「戦闘力ゼロ」とか書いていましたが、全然そんなことはないよね。ブランクは相当あるけど、そう言う作品本来の印象を勝手に改変させちゃう誇張表現は良くないなと思うな、ワシは。

バイオレンス描写はこの手の作品としては充分なんだけど、ウィルコラ作品としてはやや控え目な方でまぁ、「処刑山」シリーズみたいなノリでは製作出来ないだろうからしゃあないとは思います。と言うか「処刑山2」が異常だっただけか。が、腸ネタはやって欲しかったぜウィルコラさんよ!
代わりに(?)「ホーム・アローン」のトラップを実際にやるとどうなるか的なコミカル&バイオレンスなシーンはありまして、ここももっと振り切れた気もしましたが面白かったです。

正直サンタとこっそりやり取りする女の子はまだしも、その家族や親戚一同にそこまで魅力を感じず結構ダレる瞬間も多くてそこが残念でした。
敵もボスが丁度クリスマスに恨みがあったりと、らしいキャラ付けがされていますが部下に関しては無駄に数が多くて微妙に映えない。まぁ殆どが殺され要員でしかないのでこっちは別に良いんだけど。
あのトラップにかかる二人は「ホーム・アローン3」辺りに出てきそうな泥棒っぽさがあって意外と好きでした。

ただ後半以降の覚醒したサンタによる大虐殺は最高でして、ハンマーでぶっ潰したりスケート靴で切り刻んだりとクリスマスを見事に大量の血で装飾してくれて大変よろしかったです。
もうちょいサンタの魔法も駆使出来ていればファンタジーゴアな殺戮シーンが観られたのでは?とも思いますがね。
ラストの本来なら如何にも子ども向けなファンタジーマジックで相手をグチャグチャにする所と、オープニングのゲロが特にウィルコラっぽさが出ていました。
ちょいちょいクリスマスの魔法を理由にする強引さも、何かこの作風ならそんなに気にならなかったかな。

ちょっと物足りない所がありましたが、「こういうのが観たかったのよ」となるシーンもちゃんとあったので全然良かったです。


P.S.サンタさんへ
"Dead Snow3"が観たいのでウィルコラさんに製作資金を沢山あげてください。