Ryonang

ファミリアのRyonangのレビュー・感想・評価

ファミリア(2023年製作の映画)
4.5
2023年8本目。

世間評価以上に自分好みの映画だった。

反グレとの対立を取り入れたプロットは少しチープな感じはあったけど、胸くそ悪さに全振りしてくれたので、日本人→在日外国人で起きている差別に対し、マスに対して憎悪感情を上手く引き出せていたと思う。これこそ日本人が感じるべき人種差別に対する問題意識だと思っていて、どうも白人→黒人関連のニュースは蚊帳の外の話として認識している節があるのではないか。(近年の映画でいくと「フルートベール駅で」「スキン」とか)

あと、父/誠治のスタンスが、本当の意味での国際感覚がある人間なのかも。世界とは遮断された田舎の陶器職人である彼が、異文化を寛容に受け止め、人間のコアな部分で理解しようとする。陶器を通じて、日本人としての要素も濃く維持しているのも、国際感覚のある人間のマスト条件?なのかな。単に、海外好き!みたいな人がいるなかで、母国を愛する精神も同じくらい大事だと思っている。

誠治、学、ナディアの3人で河川敷を歩くシーンなんかは、学が通訳として真ん中を歩いていたところから、角を曲がると立ち位置が入れ替わり、ナディアが中心にいる。団地でのパーティを通して、誠治が「異文化」を体感し、「家族」という枠に取り入れたからかな。こういった描写がめちゃ洒落てて好き!つい探したくなる。

国内で起きている人種問題に対しても、もう少し焦点が当たるようになってほしいな。
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