ブルームーン男爵

ソウル・オブ・ワインのブルームーン男爵のレビュー・感想・評価

ソウル・オブ・ワイン(2019年製作の映画)
3.6
ロマネ=コンティをはじめとする世界最高水準のワインを生み出すワインの聖地である、フランス・ブルゴーニュ地方のワインの作り手を追ったドキュメンタリー。フランスの美しい風景に心が癒される。

冬から春と季節は巡る。耕作し、葡萄が実り、収穫を経て、ワインが醸造される。過去ずっと繰り返され、またこれからも黙々と繰り返されるであろうワイン造り。ワインの歴史は修道院での醸造に遡り現在まで連綿と続く。

自然の真理や、ワインの作り手の哲学を垣間見ることができる貴重な芸術的で哲学的ドキュメンタリーである。それにしてもフランスはワインを表現する語彙が豊富で驚かされる。ワイン関係者がワインを表現するとき、彼らは詩人になる。

この静謐なドキュメンタリーの雰囲気をぶち壊すのがラストのほうに出てきた日本人2名。どうでもいい話をグダグダして、いっこうにワインを表現しないと思ったら、ようやくできてたワインの形容が「凄過ぎる」。貧困な表現を繰り返した挙句に、表現するほどのボキャブラリーがないと自白。このシーンはカットでよかったのでは・・・?(実際、日本ではワイン文化はまだ歴史が浅いので、日本語のワイン表現は乏しい。)このシーンがなければ非常に洗練されたドキュメンタリーだったのに。。(ただフランス人監督にはこの表現し過ぎない、あえて言語化しないところが、日本人っぽくて良いと映ったのかもしれない・・・。実は万葉集にも「葦原の瑞穂の国は神ながら言挙げせぬ国」とある。日本にはあえて言語化を避ける美徳があるのだが、ドキュメンタリー登場の2名がそうには見えない・・・。)

ただ分かりやすい映画ではないので、ワインに結構興味がないとおそらく眠たくなる。ワインの貴重な製造過程やインタビューが観れるのでワインフリークにはオススメ(なお、当方はにわかである)。