猫脳髄

ソウル・オブ・ワインの猫脳髄のレビュー・感想・評価

ソウル・オブ・ワイン(2019年製作の映画)
3.5
確かにワイン好きでなければなかなか退屈かもしれない。しかし、ワイン・ラヴァ―もしくは少しでも興味があれば、ぜひおすすめしたい一本。よく、「ボルドーは人、ブルゴーニュは土地」と言われるが、前者はブレンドの技、後者は単一種(赤の場合はピノ・ノワール)の環境特性(テロワール)に応じた持ち味の謂いであろう。

ブルゴーニュの代表格ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ=コンティ(DRC)をはじめ、名門ドメーヌを取材し、いまだ手作業に拘るワイン製造の過程と、ブルゴーニュ・ラヴァ―たちがその魅力を大いに語る。ワインほど言葉を紡ぐ「飲み物」も他に見当たらない。

「世界一美しいボルドーの秘密」(2013)が、ボルドー生産者の巧みなマーケティングとワイン投資市場の狂騒を映し出したエンタメ色の強い作品だったのに比べ、本作は、やはり修道院を淵源に持つブルゴーニュの生産者たちはストイックで、画面も畑の緑と、白を基調とした清浄な色彩で満たされる静かなつくりである。

さすがにDRCは一生に一度レベルだが、今夜はちょっとよさめの一本を開けたくなる。ただ、終幕に登場する2人の日本人(誰とは言わないが、オーナーソムリエとシェフ)のボキャ貧には参ってしまう。願わくば、他言語字幕でうまく処理されていますように。
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