"おじさん、何してる人なんですか?"
"探偵…世の中の《どぶさらい》みたいなもんだな…"
とある街…喫茶店KENTを事務所代わりに、しがない探偵業を営む連城新次郎…ギャンブルにハマり、酒癖は超悪く毎日飲んだくれる日々…
借金チャラを条件に懇意にしている笠原組幹部阿見から、最近街で暗躍する中華系マフィア"バレット"に関する面倒な仕事を受ける事に…
渋々阿見の仕事を引き受け、KENTに戻った連城の前に現れた新たな依頼人…謎の失踪をした親友のクルド人女性を探して欲しい…見かけに反して情に厚い連城は、ナシ崩し的に人探しの依頼も引き受ける事に…面倒な二つの依頼を受けてしまった連城の行く手には、のっぴきならない状態が待ち受けていた…
探偵と言えば、私にとって松田優作演じる工藤俊作がマスト…今作にも何処となく、あの伝説のドラマ"探偵物語"の息吹を感じました…というか、暴対法でガチガチのヤクザ、中華系のマフィアだか半グレだか分かんない連中、そして何かと問題となっている移民問題…令和の世相に合わせてアップデートされてるような気がします。
探偵物語の第一話"聖女が街にやって来た"と第二話"サーフ・シティ・ブルース"そして最終話"ダウン・ダウン・ブルース"のクスッと笑わせつつ、ハードボイルドに徹した雰囲気を併せ持ったような印象…
連城新次郎は、ヘロヘロ、フラフラ、ボコボコになりながらも、汚い川をスイスイと泳ぎまくる魚のように街の闇を渡り歩く…演じた北村有起哉が何処となくフナっぽい顔立ちなんで…力の抜き加減が絶妙で、飄々とした出立ちはえらくカッコいい。
酸いも甘いも知り尽くした男だからこそ出せる色気というものをスクリーンからビシビシ感じさせるのです。
脇に控える俳優陣もまた、皆艶っぽい…
何処までも泥臭く、不器用…それがなんともカッコいい。
80分という長過ぎず、短過ぎず、これまた絶妙な尺によくもまぁ、これだけの世界観を作り上げたなぁと…北村有起哉の俳優としての力、魅力があったからこそなのかもしれません…
令和の"探偵物語"として、是非続編を希望する一本でありますが…公開している劇場少な過ぎ…現在、東京ではシネマート新宿一館のみという…これまたマニアックな…