悪魔の毒々クチビル

オオカミ狩りの悪魔の毒々クチビルのレビュー・感想・評価

オオカミ狩り(2022年製作の映画)
4.7
「シビれるぜ」

凶悪犯罪者たちを乗せた貨物船で、脱走した囚人と警察と謎の怪人の三つ巴バトルが勃発するお話。


予告編は一回くらしか観ていませんが、プロットが良さげだったので早速。


何だこれは…
想像を遥かに上回る量の血飛沫が撒き散らかされ、人間がさも容易く残酷に命を奪われる地獄絵図。最高じゃないですか。
劇中で使用された血糊は2.5tにも及ぶとか。

割と早い段階で囚人が脱走してからゴアスイッチが入り、次々に殺されていく警官。
「数多くの凶悪事件を担当してきたベテラン」という前フリ設定に恥じない退場速度でした。
この時点で相当なエグ味が漂う中、両目を縫い付けられた囚人服を来たバケモノの登場で超人アクション的な要素も加わってまぁ凄かったです。
設定的には人の5倍の身体能力らしいですが、明らかにもっと強いんじゃね?って立ち回りで、囚人だろうが警官だろうが目に入る者は片っ端からぶっ殺してすんごい。目は塞がっていても一応プレデターみたいに相手の体温を感知します。
素手で相手を引き裂く、顔面を踏み潰す、腕を引っこ抜いてその腕で撲殺、ハンマーで頭部がほぼ無くなるまでぶっ叩くetc.と力業でどんどん血の海と肉塊の山が形成される様子は最早爽快感すらありましたね。
因みにこの「アルファ」と呼ばれるバケモノ、演じているのは「犯罪都市」シリーズでマブリーの上司イルマン班長役のチェ・グィファ。
あのコミカル班長がこのターミネーター顔負けの殺戮マシーンだったとは、観ている時は全く気が付きませんでした。

登場人物も滅茶苦茶多いんだけど、どんなキャラなのかは変に掘り下げなくとも最低限伝わる上手い塩梅で描かれていて、地味に多くのキャラが印象に残ったりします。
ただ蹂躙されていくだけでなく、中にはアルファ相手に一矢報いろうと奮闘して散っていく人物もいて、あの二人の所は個人的に好きなシーンでした。
囚人側の若頭ジョンドゥは特にインパクトの強いサイコ君で、良い意味でキチったニタニタ顔もちゃんと怖かった。
全体像が掴めるまで誰が主人公なのかハッキリしない作りも、物語のツイストなんかに繋がっていてまさに誰が生き残るか分からないバトロワ状態になっていたのも見応えがありました。
途中から若干のジャンル変更がある点など「The Witch/魔女」に似ている部分も見出だせますね。

2時間と言う長尺なだけあって結構壮大な内容ではありますが、ダレる前に誰かが豪快に殺されるので全然飽きが来ないのも良いと思うの。
唯一最後の敵がアイツなのは若干地味な感じはしましたが、バトル自体は普通に良かったです。
ただこれ多分続くと思うんだけど、そうなると今作みたいな意外性とインパクトが併存した作風はもう出来ない気がするので、そこをどうやって別の方向で振り切るか心配ではあります。
まぁあの人の今後は凄い気になるので、是非続けて欲しいですが。

改めて振り返っても本当に相当数の死者が出ていて、何なら回想シーンでも大量虐殺していたしでそりゃあんだけ血も出ますよね。
ちょっとこのレベルの死者と血の海が劇場で拝める作品は中々無いんじゃないかと。
勿論好きな要素は複数ありますが、久々に殺戮シーンの強烈さが際立つ作品に出会えてあたしゃ満足よ。
「シャドー・オブ・ナイト」みたいな頭一つ飛び抜けたゴアアクションが好きな人にはオススメです。
入場特典で乗車券型のポストカードが貰えたんだけど、これも結構好きです。