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オオカミ狩りのSQURのレビュー・感想・評価

オオカミ狩り(2022年製作の映画)
3.0
「より異常であるものが最終的に場を制する」といった原則に基づき、自分の異常さをアピールしていく異常者マウントバトル。『アシュラ』など、韓国映画が得意とする分野(な気がする)。力関係が動くと面白さが発生する。また、「誰が最後まで生き残れるかなー」とダービーをしながら見るのも楽しい。一般的に、騒ぐやつよりも物静かなやつの方が最終的に強い傾向がある。ただ、韓国では「小物そうな奴が実は……」といった展開はあまり観ないような気がする。本作も最初の印象の通りで、その面での驚きは少なかった。

本作がやりたかったことは「フェーズが途中で大きく変化するサバイバルバトル」なのだと思う。普通の殺し合いだったところからいきなり……といったふうにだ。しかし、見せ方があまり良くない。一気に物語のリアリティラインが変わることがなく、じわじわ変わっていくのでピントがいまひとつ定まらない。特に、船内という狭い空間での戦いのため、異質さ・超人度合いを表現しきれてないところは痛い。

アクションは泥臭い殴り合いよりもサクサク死んでいくタイプで、テンポがいい。反面、登場人物の誰一人としてキャラクターが深掘りされることがないため、観客はどこで感情的になればいいか分からないようになってしまっている(一長一短ではあるが)。

『魔女』などと同じく、明確にシリーズ化を考えている終わり方であったが、一本一本の映画としての完成度がもう少し必要だろう。全体として「そこそこ面白いし、オリジナリティもなくはないけど、パッとしない映画」だった。
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