《この血溜まり、致死量。》
フィリピン沖から韓国に向け、出航した護送船。
凶悪犯罪者たちを乗せ、ベテラン刑事20名ほどが護衛に当たる。
三日間に及ぶ船旅は、血で血を争う修羅の旅と変わり果てる。
完全に隔離された船上で勃発するバトルロワイヤル。
船を襲う豪雨は、船内の血溜まりを洗い流せない、、、
構図が全然見えてこないのが面白い。
この映画における序章は、いつも序章の序章に過ぎない、、、
以下、ネタバレを含みます。
生き残りに、誰の意思さえも介在しない理不尽なモンスター、ケモノ。
韓国版ターミネーターのような、シュワちゃんを彷彿とさせる佇まいで、真っ赤な畏怖を放つ。
音と温度に反応するだけの怪物。殺戮だけを求める怪物。
「腕の一本くらい、持ってかないと、部下に顔合わせできない。」班長イ・ソグのセリフ。
「怪物なのに人間らしく生きてはだめじゃないか。」オ・デウンのセリフ。
こんなカオスでさえ、地の底のクズと、それに懸命に抗おうとする正義がある。
スプラッタシーンは途中からやや淡白で、アルファが登場してからは、画のメリハリに欠ける。血の吹き出し方にも慣れてしまい、誰かが「ここは地獄」と言わないと、それを忘れるほど。
パニックスプラッタ映画として楽しめたが、もう少しストーリーが欲しいと感じてしまった。
続編のありそうな終わり方であったが、ここまでインフレしてしまうと、人間の欲望だとか、地獄の重みだとか、そういう要素は薄れてしまいそうである。