「船頭多くして船、山でコケるーー」
公開前から楽しみだった。
今の韓国映画の力をまざまざと見せつけられるのだろうとも思っていた。
何より物語の設定が素晴らしい。
大勢の凶悪犯を大型船でフィリピンから韓国に運ぶ。その船の中で案の定、犯罪者たちの暴動が起こる。
ここまではよくある設定。
これにプラスして、想像を絶する怪物が登場して文字通り、物語を掻き回す。
クライム、サバイバル、サスペンス、ホラー。期待するのはそんなところだ。
料理には素材とレシピ、そして実際にレシピ通りに調理する経験値と実力、最後は美しい仕上げが求められる。
映画も一緒だ。
オオカミ狩り、素材は良い。
レシピは、何かが抜けている。それはたくさんあるけれど、端的に言えば、誰の目線で語られ、誰に感情移入すべきか、その道標だ。
調理については雑に過ぎた。スプラッターにこだわりすぎて物語を雑に紡いでいる。
説明不足のキャラクター、唐突な過去インサート、散らかって収集のつかないプロット。
そして仕上げ。
この手の映画は最低限、完結しなければダメだ。
なんだこの終わり方？
連ドラか？
