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少女は卒業しないのKHのレビュー・感想・評価

少女は卒業しない(2023年製作の映画)
3.5
同じ制服着て、同じクラスで、だけどそれぞれ境遇が全く違うのって当たり前だけど不思議に思った。
「卒業」というテーマに向かって繰り広げられる少女たちの群像劇。ストーリー性を前に出すより、卒業式前の独特の雰囲気を演出することに優先してるのは尖ってる。でもストーリー性がなくても役者が良いから映画として成立してると思う。
地方残留組と上京組のすれ違いとか、卒業式の窮屈さとか、卒業式の前日に流れる独特の時間とかを派手な演出でなく映像として見せているところが良かった。
「少女は卒業しない」というタイトルについて。監督の解釈は彼女たちは小中高とエスカレーター式に上がってゆき、あくまでそのシステムの1部であり最終として「卒業」しなければいけないことへの悲しさや怒りとしており、原作者自体はそれを明らかにしていない。
確かに少女は社会システムの1つとして制服を捨て卒業して行くけど、あの時学校で感じた楽しみや悲しみや痛みを抱えて、時にふと思い出して懐かしく思ったり苦い気持ちになりながら少女時代の延長線上を生きていくということでは無いのか。
この映画も桐島みたいに後々見返したらキャスティングが今では考えられないほど豪華!って感じになって欲しいな。
朝井リョウって正欲とかみたいに、世間から少し外れてるけど共感もできる人物描写が上手だし人気なんだけど、たまに真正面から切り込んでくる無垢さがあって、その無垢さに惹かれる。
KH

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