コマミー

パリタクシーのコマミーのレビュー・感想・評価

パリタクシー(2022年製作の映画)
4.1
【聞いて、話して、知り、微笑む】






衝撃的であり、そして幸福も憶える素晴らしい作品だった。

"免停寸前"のタクシー運転手"シャルル"が、"92歳のマダム:マドレーヌ"を老人ホームまで送る仕事を請け負う事から始まるロードムービーなのだが、マドレーヌからタクシーの中で語られるフランスの"女性差別"の実態がとてつもなく衝撃的で、ここまで生きるまで様々な苦労を重ねてきたのだろうと涙が出たのだ。
だが一方で、マドレーヌから発せられる思い出話の中には暗い話だけではなく、時には幸せだった日々の話もあったり、時には彼女お得意のジョークも挟んだりと、"明るい部分"の時が多くて、それを見たシャルルも徐々に"心の余裕"を取り戻していくのだ。
いわゆる「有害な男」に出会う事が多かったマドレーヌにとって、それくらいシャルルの存在が有害性を感じず、シャルルもそんなマドレーヌが"かけがえのない存在"になる。それを観て私は、美しすぎていつまでも観ていたいなと感じた。

マドレーヌを演じた"リーヌ・ルノー"が本当に若々しくて好きだった。彼女はシャンソン歌手であり、日本にも何度か公演で訪れていると言う。そんな彼女の演技はとても光っていた。
シャルル役のフランスのコメディアン、"ダニー・ブーン"の演技も勿論良かった。ジャン=ピエール・ジュネの「ミックマック」での演技が印象的だったので、今回もとても良かった。

元からフランス映画は良作が多いのだが、近年は特にフランス映画の良作が増えてきているような気がする。本作に関しては公開からすでに4週くらいは経っているのに未だにほぼ満席。ビックリした🫢。
"クリスチャン・カリオン"の作品の中でもかなりの大ヒットなのではないか?手軽な時間に観れて、皆んなが幸せな気持ちになる。

本作にはそんな力が込められていたから、大成功したのだと感じた。
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