クリーム

パリタクシーのクリームのレビュー・感想・評価

パリタクシー(2022年製作の映画)
3.9
ジャケの人の良さそうな笑顔と評価の高さから、絶対良いお話なのは、解って観始めましたが、想像の上を行くお話が隠れていて、思ってた以上に引き込まれ、素敵な作品でした。良かったです。

パリのタクシー運転手のシャルルは、借金も返せず、休みなし、免停寸前でした。そんな中、あるマダムをパリの反対側まで送るという依頼が舞い込みます。92歳のマドレーヌは、終活の為老人ホームに向かうのですが、彼女はシャルルに寄り道して欲しいとお願いします。そして、 人生を過ごしたパリの街の想い出を話始めます。



ネタバレ↓



マドレーヌの思い出話は、段々、驚く話に発展して行きます。 16歳で出会ったアメリカ人兵士に恋をして、彼との間に子供が出来た話。その後、夫となった男がDV野郎で、息子にまで手を出したので、薬で眠らせ股関を焼いたら、それに寄り懲役25年の判決で刑務所へ入った話。模範囚だった事や世の中が変わった事で、早めに出所出来たが、息子は成長し、ベトナムに戦場カメラマンとして行ってしまい、彼が戦場で亡くなった話。マドレーヌの話の展開が柔らかい話を想像していたので、パンチを食らいました。
始めは、面倒なお婆さんだと思っていたシャルルも話にのめり込み、マドレーヌのペースに巻き込まれます。
彼女は、一時停止無視で違反を取られそうになった彼の為、芝居をうち助けてくれました。老人ホームから、まだ着かないのか?と連絡が来ると今度は、シャルルがまだ時間が掛かると行って無線を切り、マドレーヌをディナーに誘います。そして、楽しい一時を過ごし、ホームへ送り届けます。マドレーヌが料金を払ってないと言うと後でまた来るから、その時に払ってくれと言って立ち去ります。後日、訪ねると心臓の病で亡くなったと言う。
シャルルが、彼女の墓に行くと後見人が彼に手紙を渡して来ます。中には、前に進みなさいと言う励ましの言葉と小切手が入っていて、貴方には必要だから使ってと書いてありました。

とにかく、マドレーヌの人生の話が波乱万丈で、驚かされます。この展開を予想していなかったので、どんどん引き込まれてしまいました。ラストは若干、ご都合主義だけど、素敵な話だったので気になりませんでした。
人生の最後に寄り添ってくれた優しいシャルルにマドレーヌは、未来をプレゼントしました。じんわり良かったです。
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