ノラネコの呑んで観るシネマ

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4.3
ゲイであることで16歳で母に捨てられ、9年間ホームレスとして生きてきた主人公が、アメリカ海兵隊に入隊する。
元海兵隊員のエレガンス・ブラットン監督の半自伝的作品。
当然ながら教官も同期生たちも、全くゲイフレンドリーではなく、様々ないじめや嫌がらせを受ける。
そんな中でも親しくしてくれる仲間を得て、主人公は懸命に3ヶ月の教育プログラムを耐え抜き、徐々に嫌悪の視線を向ける者たちの心も変えてゆく。
淡々としたテリングがリアリティを高めており、なかなかの仕上がり。
海兵隊では命を預けられる仲間として、居場所を作ることが出来た主人公だけど、一番認めて欲しかった人には、最後まで顔を背けられてしまうのが切ない。
お母さんにとっては、絶対譲れない宗教的な禁忌なんだろうけど・・・。
親子という関係だから余計そうなのかも知れないが、人と人が通じ合うのは難しいね。