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インスペクション ここで生きるのrenのレビュー・感想・評価

3.5
主人公はゲイだと分かって母から家を追い出され、16歳からホームレスで生活してきた。母は原理主義的なキリスト教徒で、同性愛者は絶対に認めなかった。海兵隊に志願した主人公は、徹底的に耐え抜いて改めて母と対峙するが…。
あんなにお母さんに無碍にされるのに、お母さんに認めてもらいたい、というモチベーションで海兵隊で鍛え抜く主人公。ラストシーンは本当にキツいんですけど、ただのハッピーエンドだとしても誰も救われないような気もして、大変見応えのある作品でした。
どれだけ鍛えたとしても「自分」は変えられないのだ、と。
また、作中で「ゲイを抜いたら隊員がいなくなる」というようなセリフがあります。つまり、海兵隊の志願者はいろんな事情を抱えてやってくるということ。そんな人たちへのメッセージになっている。
かつ、監督の体験談というリアリティもすごい。ただ真面目に鍛え抜く主人公というわけでもなく、優しく接してくれた教官に好意を抱くシーンもある。欲に負けそうになるところなんてめちゃくちゃ人間らしい描写。
それは赤裸々すぎませんか?と心配になるんですが。
2005年のお話で、西暦だけ見れば「最近だな」とは思うんですが、この20年弱で進んだとも見れるし、まだまだだとも思います。
95分の尺でいろんなことが詰まった良い作品でした。
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