悪魔の毒々クチビル

最強殺し屋伝説国岡 外伝 国岡ツアーズ大阪編 蘇る金のドラゴン なにわアサシンの逆襲の悪魔の毒々クチビルのレビュー・感想・評価

4.3
「いける!マサ君いける!!いけるいけるいけるいけるいける!!!」

国岡さんの母親に職業がバレてしまったので大阪の実家に挨拶に行くお話。

「グリーンバレット」の物販として発売中の国岡シリーズ最新作と言えば最新作です。
とはいえ俺が行った劇場では元々入荷自体していなかったし、今作の存在もフィルマやってなきゃ多分まだ知らなかったですね。
そして調べてみたら販売劇場はそれぞれ即完売で再入荷待ちでして。
普通に複数枚購入してメルカリに転売している輩もいるくらいでしたよ。ゴビ砂漠に埋められれば良いのに。
俺は先週、再入荷後であろうヒューマントラスト渋谷まで行って買って来ました。その時は割と在庫が残っていたと思いますが、今でも品薄状態が続いているらしいので「職場からも近くはないけど、家から行くよりは全然マシか…」と仕事帰りのクッソ眠い中買いに行っておいて良かったなと。

そんで漸く内容についてなんですが、これはもう阪元監督作品ファンというより国岡ファン向けの作品ですね。時系列は「グリーンバレット」の少し後かな。
「グリーンバレット」でも活躍していた殺し屋仲間の真中や監督、そしてカメラアシスタントの大阪(名前ね)も途中で加わってひたすらグダグダ喋りながら観光して飯食って他の殺し屋に絡まれて戦い、最後にやっと実家に帰るという飯テロアクションコメディ映画となっています。
その会話の内容もね、もうほぼ内輪ネタみたいなもんなんだけど、これがまた面白いです。
1作目が確か殆どアドリブで喋っていたらしいけど、恐らく今回もそうだと思います。何なら実体験エピソードとかも結構混ぜているような気がします。昔の仕事とかバイトの話とか。
そこにちょろっと過去作のキャラの話とかも放り込んで、良い感じにファンサービスしていますね。真中と殺丸の意外な過去が語られます。

金龍ラーメンという国岡お気に入りのラーメン店のくだりでは、国岡があまりにここに固執し過ぎて真中がツッコミ側になる等、珍しい光景も。
「結局オカンにいつ会いに行くん?」と聞かれた時の国岡の空虚な笑みとか、これ絶対他の人もお気に入りのシーンになるだろうなぁと笑いながら思いました。
そんな緩い中でも真中や大阪、それぞれの抱える悩みなんかにも焦点を当ててキャラを掘り下げていく所なんかも抜かりないですね。

終盤のバトルはこれまたここだけ主観視点ではなくなっていたので有難い。
今作の敵は「グリーンバレット」のあの人や1の雪平程の強敵ではないので、アクションの内容としては若干劣るものの、壁を蹴って体勢を変えたりドロップキックするレアな国岡が観られて満足度は普通に高いです。敵も動き自体はキレがありましたし。
ちょっと某エクスペンダブルズ2辺りを彷彿とさせる蹴りもありまして、相変わらず格好良かったです。
相手の銃を奪ってそのまま地面に全弾撃ち尽くす演出もイイネ!

終盤遂にオカンと対面する国岡もこれまためっちゃ面白かった。
携帯を机に置く流れでしれっと銃まで置いて慌ててしまう所が一番お気に入りです。
オカンが1の映像観たいと言ってきた時に国岡が食い気味で「いや英語やねん本編」とか「字幕フランス語しかないから」みたいな、多分これもある程度即興なのであろうやり取りも全部笑えて良かったです。
最終的にはオカンもぶちギレて真中も呼ぶ羽目になるんだけど、オカンの喋り方とか何となくごっつええ感じの「オカンとマー君」っぽかったです。
あとオカンを諭す真中を見て、まさかこんなまともな一面も併せ持つキャラになるとは1を観ていた時は思ってもみなかったですね。
当時の国岡が言っていた通り、きっしょきしょい奴って印象くらいだったのがグリバレと今作を通してすっかり国岡のバディっぽくなっていて、今では真中もすっかり好きなキャラです。
やはり好かれるキャラ造りは上手いですよね。

まぁPOV形式の時にいつも通り撃たれた相手の衣服とかに全く変化がない欠点もまんまだったので、ここどうにも出来ないならいっそのこと映さない方が良いとは思いました。

一行に襲い掛かってくる殺し屋トリオの一人が、数年前コラボムービーを製作したブランド(Black Brain Clothing)の服を着ていたりと小ネタもあって良かったです。

国岡の新たな一面が垣間見える、国岡ファン全員にオススメ出来る作品。
基本的にグダグダお喋りしているだけで面白いっていうのは、やっぱ国岡というキャラにしっかりハマっていたおかげですかね。
逆にシリーズ観たことないって人はいつまで品薄状態が続くのかは不明とは言っても、まず1や現在公開中の「グリーンバレット」も観た上で購入を検討した方が絶対良いです。
4000円って割としっかり目なお値段ですが、アクションメイキングやNGシーンといった特典映像もあったりと作品の出来は勿論、買って良かったなと思える内容でした。