ロマコメ女王アン・ハサウェイと少女漫画の王子様ニコラス・ガリツィンで歳の差、更にアイドルグループのスターとそのファンだった娘を持つ母というギャップも加えた夢物語設定。けどまあねーアンさんならねー、ガリツィンならねーと納得させてしまうスターパワー。何せアンさん、誰よりゴージャスで華がありまくりなんで、シンデレラ・ストーリーでなく元からシンデレラだよ。
とはいえ40歳離婚歴女性の側に立つことで、あんまり浮ついたトーンにはなってない。恋に落ちる理由こそ描こうとするところが誠実だった。同年代にギャップを感じてしまうのはわかるし、ミッドエイジクライシスと中2病は似たところがあるかもしれない。お互いにインスピレーションと自己発見の旅の途中。ロマコメは結果より過程を見せるのが大事なのだ。
と同時に、中年女が夢のような幸せを手にして何が悪いという話だった。コーチェラとか現実との接点を繰り返し織り込みつつ（現実ではあんなふうに非難ばかりされるとは思えないけども）、夢は絵の中でなく実際に触れられるものだと背中を押す。マイケル・ショウォルター監督の視点は、劇中のアンさん親友に反映されてる気がした。
オシャレなシルバーレイクからセレヴライフまでロマンティックなムードはたっぷり。そしてステージングや音楽そのものに手を抜かない、いやかなり力入ってて、ガリツィンの歌を惜しみなく聴かせてくれる。いっそアンさんも歌えばいいのに！
