よっこ

ジャズマンズ・ブルースのよっこのレビュー・感想・評価

ジャズマンズ・ブルース(2022年製作の映画)
3.9
重いテーマであったが、ショーとしてのジャズ、生活の一部のジャズ、それぞれ音楽が素晴らしかった。

南部の人種による棲み分けがあり、肌の色の違いだけであからさまな差別があった時代。

善悪が解りやすく描かれているが、優位な立場にいる白人達の悪意がとても不愉快だった。

肌の色の違いだけで互いを理解しようとせず、敵意をむき出しにする社会構造があった時代、人間の憎悪の根源は一体何処から生まれてくるものなのだろうか。

人種の違いだけでなく、血の違いによるウィリーと父親のバユに対する憎悪。人はここまで残酷になれるものか、神はどこにいるのか絶望的な気持ちにもなる。

母の策略で白人として偽り、裕福な白人社会に嫁ぐリアンや
ホロコーストを生き存えたマネージャーも、自分ではどうしようもできない理不尽な力に押し潰されて、それでも生きることで前に進もうとしている。

いつの時代も子供を自分の所有物として、支配しようとする毒親はいるものだ。

それぞれ自らのコミュニティに属さない異質なものを排除しようとする風潮はいつの時代にもあるけれど、差別による憎悪は本当に悲しい。

家族思いでジャズの才能溢れ、愛を貫き通した心優しいバユ。結末は涙が溢れてくる。
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