悪魔の毒々クチビル

プー あくまのくまさんの悪魔の毒々クチビルのレビュー・感想・評価

プー あくまのくまさん(2023年製作の映画)
3.6
"You left."

大人になったクリストファー・ロビンが久々にプー達に会いに行ったらピグレット共々凶暴化していたお話。


まさかの一番近場の劇場でやっていた事にびっくりよ。
製作発表された時点から密かに話題になっていたホラー版「くまのプーさん」が、遂に公開ですよ。
劇場の年齢層は結構若くて、中高生くらいの男子グループや女子グループがチラホラ。
最近劇場で観たホラー映画の中では場内が一番キャピキャピしていました。
そう、これレイティングPG-12なんですよね。そこが観る前から気になっていた要素で、「もしかしたら大したゴア描写がないorそういうシーンが大幅カットされているのでは…」と不安でもありました。

で、実際カットされたシーンがあったのかは分かりませんが、このレイティングにしてはかなりがっつりゴア描写があってちょっとびっくり。
あくまでPG-12にしてはってだけで、普段からゴアい作品を見慣れている我々ホラーファンからすればいつもの光景ですが、全くそう言った描写に耐性無い人が見たら普通にしんどそう。
若干CG混じりな感じはしましたが、顔面粉砕シーンとかちゃんと画面外でやらずにしっかり見せているのも好印象でした。おっぱいもちょこっと出るよ。

テンポもそこまで悪くはなく、クリストファー・ロビン以外はほぼ無個性なお姉さん方がちょいちょい殺られていくだけのシンプルさも丁度良いっちゃ良い。
"Fuck You!"って叫びながら車でプーさんに突撃するクリストファー・ロビンとか斬新過ぎて好きでした。

プーとピグレットの見た目はまぁ、あんま評価よろしくないけど(見た目だけじゃないけど)クリストファーが自分達を捨て去ったと思ってから溜まった恨みは相当なもんで、クリストファーを生かしたまま監禁して鞭打ちの刑だけでなく婚約者の惨殺死体を目の前に置いたり彼女の血のシャワーを浴びせたりと中々の極悪くまさんでした。
それでも幼いクリストファーとの想い出が蘇り一瞬葛藤するシーンまであって、何ちゃんとキャラ掘り下げようとしてんねんと。
プーは一応知らなくてもギリ分かるルックスでしたが、ピグレットはもう完全に獣人でしたね。
野生化しているのに服着ていたし。

普通に好きではあるんだけど、残念なのは監督がホラー映画撮るの下手なんですよね。
ジャンプスケアは絶妙にもったりしていてキレが無いし、ホラーにありがちな突っ込み処が見事に結集していてゴアを除くとポンコツな一面が次々と顔を出して来ちゃうっていう。
取り敢えず縄とか鎖って素手であんな簡単に外れるっけ?って言うのと、遅刻してくる友人から連絡ある可能性高いんだから携帯没収するの今じゃないだろな場面が特に気になりました。
めっちゃ強引に死ぬ要員追加していたのは逆に清々しかったけど。

プーたちの殺害方法ですが、そこらのパワー系キラーとあまり変わらないです。
ハンマーで殴打したり鎖で絞め殺したり頭叩きつけたりetc.
車で綺麗に頭部だけ踏み潰しみたいな野生化にいる割には文明の利器も器用に使いこなしていました。
なので無難と言えばその通りですが、今回は殺害描写も手を抜かなかったってことで良しとしましょうじゃありませんか。


基本的には単なるネタ映画扱いされていますが、普通に楽しめたし何より冒頭のアルバトロスのロゴがしっかりこっちのハードルを下げてくれたので安心して観られました。
寧ろアルバトロスの新作ホラーとしては当たりの部類じゃない?
帰る時に近くにいた女子グループが「え、これ結構良かったかもww」とか話して盛り上がっていたので、意外とホラーへの入り口になれる作品なのかもしれないし、そうなったら嬉しいですね。
続編も楽しみで、クリストファーとの想い出が心に残りながらも後戻り出来ない道を選んだプーさんの今後が地味に気になります。

これ観てからか観る前に「プーと大人になった僕」を観て、「マルチバースのクリストファー・ロビンはこんな目にあっていたのか」って考えるとめっちゃアメコミ映画観た気分になれるよ!嘘だよ!!