【森の奥深く】
5年前、ディズニーが"「くまのプーさん」"の実写版として公開した「プーと大人になった僕」を観に行った。
家族の事情で"プーと仲間たち"と疎遠になってしまった"クリストファー・ロビン"が、大人になってプー達と再会し、様々な奇跡を起こすという物語だ。妻子とうまくいってない大人になったクリストファー・ロビンが、プー達と再会する事によって「心の余裕」を取り戻していくロビンの姿に感動した。
…そんな「くまのプーさん」なのだが、"A・A・ミルン"が手掛けた原作の著作権の保護期間が切れ、"パブリックドメイン"の作品となったのだ。これによって、知的財産としての機能が無くなった為、流用できるようになったのだ。
その気を狙ったのか、とんでもないカルトホラーが誕生した。
まず、本作は原作がパブリックドメイン化されたとはいえ、ホラー映画らしく改変はしているのだが、"原作の良さ"もちゃんと残してある作品となっていた。
改変された所と言えば、これはとても面白いのだが、プーと仲間達の事をぬいぐるみや単にそこに住む動物達と位置付けるのではなく、一種の"変異体"として捉えられているのだ。まさに容姿はモンスターである為に、子供の時のクリストファー・ロビンがその存在を隠していたという設定も、"闇要素"が深まってとても良い独創性だなと感じた。
そして、本当の"怪物化したプー"がクリストファー・ロビンに対してだけは"後ろめたさ"を感じてしまうという、良心的な側面も備わっており、ドラマ的な要素もしっかりしていた。
ただ、それ以外は圧倒的チープ。それにカルトホラーらしく襲われる側にツッコミどころ満載。
とは言え、このプーと"ピグレット"のビジュアルは確実に観客の記憶に残る事だろう。
決して高評価をあげられる作品ではないが、アレンジはとても捻られていて少し見応えはあった。
既に続編も決定しており、なかなかに楽しみにしている自分もいる。
見て損はしない、C級ホラーになっていたと思います。