真っ黒こげ太郎

プー あくまのくまさんの真っ黒こげ太郎のレビュー・感想・評価

プー あくまのくまさん(2023年製作の映画)
3.5
はちみつはもう飽きた。

「おまえは、さった…」

ともだちは、もういらない。

僕は”何もしない”(おバカな連中) を、毎日や(殺)っているよ。




100エーカーの森でくまのプー、こぶたのピグレット、ろばのイーヨー達と出会い、食べ物を与えて楽しい日々を過ごしていた少年クリストファー・ロビン。
成長し青年となったクリストファー・ロビンは大学進学の為にプー達を森に残し旅立ってしまう。

時が経ち、婚約者のメアリーと共に100エーカーの森に帰って来たクリストファー・ロビン。
だが、プー達は食べ物に飢えた挙句イーヨーを喰い殺し、野生化して血に飢えた凶暴な殺人鬼となっていたのだ!!!

プーとピグレットは、自分達を捨てたクリストファー・ロビンや、近くの山小屋へ泊りに来た女子大生達に牙を向く…。




著作権が失効しパブリックドメイン化した、A・A・ミルン原作の児童小説「クマのプーさん」をホラー映画化した、スラッシャー・ホラー。


著作権が切れたのをいいことに、まさかの子供や女の子の夢ぶち壊しまくりなアレンジで作られてしまい、SNS等で話題となった。
(因みに某夢の国の方とは関係ない、プーさんの色合いが夢の国の方と似てても無関係、いいね?)

そんなピュアな心の人々の魂を葬らんダービーな本作、興行的には成功し続編製作も決まった(!)のだが、あちらでは今年の最低映画ワースト1位と酷評され、日本でも酷評と罵声の嵐!!!w
実際の制作費も約10万ドルの低絶予算で撮影期間も僅か10日でこさえたという、正にエクスプロイテーション映画の鏡の様な超タイトな制作現場!
しかも監督やプロデューサーの作品はどれもこれもアレな感じがするし、制作には配信の時代に数多くのゴミクズ映画を送り出したitn distributionが関わっている。
更にとっておきの駄目押しだと言わんばかりに、配給はあのB~Z級映画の重鎮、アルバトロスだ!!!w

ぶっちゃけitn distributionやアルバトロスが関わっている時点で作品のクオリティは察せるのだが、まさかのご近所で劇場公開されてしまった!!!
因みに他の素晴らしそうなスプラッター映画は殆ど劇場で流してくれない癖に、よりによって一番酷そうな今作だけが近所の映画館で流れてしまった!!!
なんでやねん!何かの呪いか、これは。

まぁ、こんなゴミクズZ級ホラーが劇場で見れるのは中々ない機会だと思うので、あまり期待せずに見に行ってきた。w



案の定、ショボくて酷い映画だった!!!やはり予想通りだ!!!

が、俺はそれなりに見れた。(えゑ!?)
良くて凡作、悪くて普通の駄作。これより酷い血みどろホラー映画なんて腐る程ある。
(「食人雪男」とか、「デス・ファクトリー」とか、「ドリラー DRILLER」とか「ウィンタースキン」とか…)


しかしまぁ、酷評される理由も分かる。
本作のプー達は異種交配の結果生まれた獣人らしいが、案の定プーとピグレットのビジュアルが動物のマスクを被ったオッサン殺人鬼にしか見えないし、蜂蜜を喰う位しかプーさんの要素がない。
(ダメじゃん!!)
クリストファー・ロビンもアッサリ捕まって殆ど出番がないし、基本的には別荘に来た女の子達が殺人鬼に追われてキャーキャー逃げ惑うだけのよくあるお話だし。

話も大して面白くなく、予算の関係から前半部分は死ぬほど間延びして眠気を誘うし、普通に走って逃げればいいのに殺人鬼の後を追ったりして死人が増えてるし、殺人鬼から逃げる場面も画面が暗い中でカメラをグワングワン動かしてるので何しとるんかサッパリ分からん!!!
(こんな場面あったよ、FILMARK(今は亡きIFD Film&Arts、このサイトとは無関係)のニコイチ映画で。)
ラストもカタルシス皆無で、物凄い投げっぱなしで終わってエンドロールが始まった時には我が目を疑った。w

肝心の残酷描写は、機械でミンチにしたりハンマーで顔面粉砕したり、マチェーテで口から貫通させたりとバリエーションは意外と豊かで、殺され役の人数も多めではあるのだが、レイティングの関係かあるいは特殊メイクにかける時間が無かったからか(間違いなく後者)殺害シーンが殆ど真っ暗な中で展開されてしまい、肝心の切り株描写が殆ど見えーん!!!!
一応後述する見せ場も無くはないけど、せめてもっと明るい場所でグロゴアを見せて欲しかったよ…。


そんなこんなでかなりダメダメな部類の映画には違いないのだが、一応スラッシャー映画としてのツボ自体はまずまず押さえており、最低限の要素は保たれてる。
殺人鬼のプーとピグレットは出し惜しみせずにバンバン姿を見せてくれるし、殺人鬼と襲われる側のワチャワチャ大騒ぎが以外にも中盤の早い段階から展開されるし、クライマックスでは明らかに殺され役な個性派連中がプーに挑んでアッサリ全滅したり、色々あってズタボロで逃げていたクリストファー・ロビンがまさかの反撃をぶっかましたりと、見せ場的なモノはあるので、間延びした前半に比べると後半部分はそこまで退屈自体はしなかった。
(そこまで面白い訳でもないが)

グロゴアが暗くて見えないのは前述の通りだが、肉を喰われ骨になった死体や、血まみれ内臓樽、血まみれ傷まみれの登場人物など、PG12指定の割に血生臭さはそれなりに演出出来てる。
また真っ暗な今作の中で数少ない見えてるグロゴア描写として「頭潰し」が2度展開されていたのは良かった。
特に最初の頭潰しでは、頭が潰される中で犠牲者の目玉が飛び出ておりチョットだけ拘りを感じた。

これでグロゴアをしっかり見せてくれればつまらない内容は兎も角、見せ場方面での評価は上がったと思う。
予算の関係とかもあると思うが、そう考えると惜しい気がしますね。


という事で、まさかまさかのZ級ホラーを劇場で焼き付けることになった本作。
自分は星3.5点位の評価だけど、世間的には間違いなく星1点~0点のクオリティだし、大金を払って劇場で見る価値があるのかと聞かれれば間違いなくノーだろう。w

まぁそれでも自分はまぁこういうジャンルは好きだし、前評判で身構えてたよりは全然マシだったし、見所も無くはない…と思ったので興味がある方は自己責任でどうぞ。
別にオススメはしないし、口が裂けても「是非劇場へ!」とは言えないけどね。


因みに本作を見に来ていた人が帰り際に「グロテスクだったね~…」と同伴者に語っているのを聞いて、何か嬉しい気持ちになった。
(俺はそこまでじゃなかったけど、スプラッター映画好きとしては実にほっこりする反応だった。w)

まぁ何はともあれ、続編の制作も決まったそうで何より。
次回は安っぽさ丸出しでも全然構わないので、是非とも明るい場所でグロゴアを展開してくれ!!!お願いします!!!
(お前はグロゴアが良ければ何でもいいのかよ)