爆裂BOX

プー あくまのくまさんの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

プー あくまのくまさん(2023年製作の映画)
3.5
A・A・ミルン原作の児童小説「くまのプーさん」の著作権が切れてパブリックドメインになった事で製作された低予算のスラッシャー映画です。結構話題を呼んで、興行的にも成功したみたいですが、本国でも日本でも酷評が相次いでるので期待せずに鑑賞しました。ちなみに自分はプーさんの原作もアニメもまともに見た事ないです。
クリストファー・ロビンが大学進学の為、プーさんたちを残し100エーカーの森を離れて5年、婚約者を連れて森に戻って来たロビンが目にしたのは、食糧難からイーヨーを食べて人間達、とりわけロビンを激しく憎み凶暴化したプーさんとピグレットの姿だった、というストーリーです。
出オチのような設定ですが、プーさんとピグレット達がいかにして人間を憎み凶暴化していったかを手書き風アニメでサラッと紹介して、森を訪れたクリストファー・ロビンと婚約者がピグレットに襲われて殺されて、ロビンはプーさんたちに拉致されるまでをテンポよく描いてます。最初の説明で異種交配によって生まれたと説明されてたけど原作はそんな設定じゃない気がします。テディベアなんじゃないっけ…
そこからはストーカー被害に遭ってその心の傷を癒す為に100エーカーの森に友人達とやって来たアリス達女子グループが襲われる普通の安っぽいスラッシャーになっていきます。もっとコメディしてるかと思ったら結構真面目にスラッシャーしてましたね。
プーさんもはちみつベタベタ食べたりする以外プーさんらしい所なくて、本当クマの被り物したオッサン殺人鬼という感じですね。ロビンの呼びかけに幼い頃のロビンと過ごした思い出思い出して葛藤したり掘り下げるような所もありますが。ピグレットの方はもうイノシシという感じでブタらしさなかったな。ハンマーで殴って来たり車でゆっくり引き潰したりと結構凶器使うのも普通の殺人鬼感強めます。一応、怪力でビンタして殺すシーンもあるけど。
一応の主人公であるクリストファー・ロビンは早々に捕まって、鞭で打たれたり婚約者の骨になった死体目の前に置かれたり、シャワーで血を頭から浴びせられたり酷い目に遭いますが、終盤になるまで活躍する所もないですし登場シーンも少ないです。女子グループの方も、ストーカー被害でトラウマ抱えてる設定でギリアリスが他より個性ある感じなだけで、ほぼ無個性な殺されキャラでドラマ的なもの殆どないです。アリスのストーカー被害のシーンはプーさんより怖かったかも(笑)
血飛沫はCGでしたが、車のタイヤでゆっくり顔押し潰されて目玉飛び出したり、ナタで口貫通したり怪力ビンタで顔の皮半分剥いだり手首切断して頭踏みつぶしたりとホラー映画見慣れてる人には大した事ないけど、PG12の割には結構グロかったんじゃないでしょうか。どうせならハチミツ全身にかけて踊り食いとかプーさんらしいやり方見せてくれても良かったんじゃないかな。
終盤の女子グループの生き残りの行動はツッコミ所多数でしたな。他に拘束されてた女が復讐に乗り出してやられた後、その間に逃げたらいいのに見つかるまで残ってたり、わざわざまた戻ってきて追い掛けられたり何回早く逃げろよ!と思ったことか(笑)終盤現れる如何にも殺され要員の荒くれ者たちが「女の子イジメて楽しいか!」とプーさんに向って行く所は何か面白かった。ハンマーやバールでボコる所はその後プーさんに瞬殺される所まで「ハロウィンKILLS」のマイケルVS自警団ちょっとだけ彷彿しました。
ロビンが車で突っ込みながら放つ「プー!死ねええええええ!!」は笑っちゃいました(笑)最後のロビンの必死の懇願に「去ったくせに」という所はプーさんの哀愁感じましたね「今ならまだ戻れる!」って言われたけど、イーヨー食べた時点でもう戻れない所に来ちゃってたんだろうな。
評判悪いですが、スラッシャーとしては安いなりに楽しめる作品でした。続編決定したようだけど、クリストファー・ロビンの復讐劇になるのかな?今回でなかったティガーとかも出るんでしょうか。