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ヴィーガンズ・ハムのharuのレビュー・感想・評価

ヴィーガンズ・ハム(2021年製作の映画)
4.0
ピグレットを求めて。

肉屋を営むヴィンセントとソフィーは、すっかり冷え切った熟年夫婦。ある日店でヴィーガンに襲撃され、キレたヴィンセントは思わず犯人を轢き殺してしまう。「ダメだこいつ…早くなんとかしないと…」!とりあえず死体を解体したヴィンセントだったが、翌朝手違いでソフィーがそれをうっかり販売!ところがヴィーガンのハムは極上の味だった…!

どうしよう…自分でも戸惑うほどに面白すぎました。離婚予定の夫婦が愛を取り戻す話なんですが、その過程がまさかのハム作りとは!
ということで、美食の国フランス生まれのお肉愛が止まらないブラックコメディです。あらすじがめっちゃグロいのに、もちろん映像もそれなりにグロいのに、なぜか品があります。ヴィーガンズハムの断面が美しすぎるから?正直鑑賞後は何も残りませんが、これ永久に笑える。
夫婦がヒット商品を生み出すきっかけを作ったのは、夫のヴィンセント。日頃からソフィーに「勇気がない」と罵られていたせいか、ついに踏み出す一歩がデカすぎる。1回やっちゃったら2回目なんか余裕だろと思いきや、やっぱり葛藤する姿から、彼は普通にマトモで良い人間なんだと思われる。ところが何事も回数を重ねることが大事らしく、次第に躊躇なく獲物をハントし、妻とイチャイチャしながら解体作業をするまでに。こうして夫がブッ壊れていく一方、妻ソフィーは最初からアクセル全開の完全なるサイコパス。イマイチ乗り切らない夫を焚きつけ、ピグレット探しに奔走。しかも突如我に返った夫に放つ「私殺してないし!」は、破壊力抜群!とんでもない嫁です。
そんな二人がついに愛を取り戻すラストは素晴らしいですが、娘の彼氏は全然美味しそうに見えない。
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