とにかくどの配信チャンネルでもおすすめで出てくる謎のフランス映画。パッケージと予告だけで「レスプリ(と言えば何でも許されると思っている)」がマシマシに効いた良くも悪くもフランスらしい露悪的風刺コメディ。
人間は肉食だから美味しくないらしい。草食獣が美味いというファクターあっての「ヴィーガンの人肉売ってみたら美味過ぎて肉屋大繁盛」というワンアイデアからして至高だ。
ヴィーガンへの悪意を込めたクソめんどくせー彼氏との食事会、動物愛護という名の下、自分の好き嫌いを前面に押し出すリアルネトウヨ勢のみならず、主役の殺人鬼肉屋夫妻が徐々に尊大かつサイコパスと化していく様。
ホルモン剤漬けの肉で大儲けしている拝金主義、差別主義者のマウンティング夫妻、仕事をせずに飯のことしか頭にない警官など、全方位にその露悪さが向けられているのが本作の最も素晴らしいところ。
ラストの一言の鮮やかさもお見事なのだが、観た後に何も自分の内側に残りはしない軽妙さこそ最も拍手を送りたいところ。面白かったと思えなかったら、本当に何の意味もない映画です笑。
しかし、ヴィーガンフードであんなに丸々肥えたりするんだろうか…ということが1番腑に落ちなかったなぁ。