バルセロナ近郊に在る海辺のリゾート地Sitgesで毎年10月に開催される映画祭から厳選された作品を上映する、シッチェス映画祭公認「ファンタスティック・セレクション2022」。アップリンク京都で鑑賞。
タイトルホルダー的な上映会でシッチェスが一番好きかなと思う今日この頃。以前は東京まで下向(笑)、ヒューマントラストシネマまで行く必要が有ったが、アップリンク京都が出来て随分と楽に成った。同時にシネリーブル梅田へ行く機会も減って大阪の事情にも疎く為る。スタンプラリーでTシャツをゲットとかグッズに興味は無いけど、東京、名古屋、大阪、京都、神戸以外でもオープン・マインドされる事を期待したい。
シッチェス2022では「ビハインド・ザ・ドア 誘拐」「パラミドロ」「ヴィーガンズ・ハム」レビュー済。今年の6作品のラインナップでは本作が一番下品でグロい。ジャケ写なんて見ただけで普通はレビューしない。ソウ、私はサメとゾンビ映画は嫌い。だって見る前から結末が見えるんだもん(笑)。因みに友人から「ぼくのデコ 23歳のヴァンパイア兄貴」吸血鬼コメディと聞いて食指が伸びないので、何時まで待ってもレビューは出ません(笑)。
恒例のシリーズ時系列
2014年 3.8 Wyrmwood 前作、オリジナル
2021年 4.0 Wyrmwood: Apocalypse 本作、続編
何を隠そう前作「ゾンビマックス!/怒りのデス・ゾンビ」未体験ゾーンの映画たち2016で鑑賞済み。邦題が完全にマッドマックスのパクリだが、アレも同じオーストラリア映画なので問題なし(ホントか?(笑)。ゾンビ映画なのでスクリプトもクソも無く、プロット一点突破なのでツカミはOKで最後まで突っ走るので、Kiah Roache-Turner監督が考え付く、全ての設定を闇鍋の様にごった煮にした点が一部の熱狂的なマニアに大ウケ。
原題「Wyrmwood」は「ヨモギ」なので天麩羅にすると美味しいが、オーストラリア英語に詳しい友人に依れば、苦悩とか屈辱と言う意味。旧約聖書で「ニガヨモギ」、ヨハネの黙示録に登場する天使。私は元クリスチャンですが「困難な時に地に満ちる苦しみを象徴的に表したモノ」と解釈。ポスト・アポカリプスなスタイルで社会の腐敗とか原住民アボリジニとか、微妙に聞き慣れないオージー英語も合せて堪能出来る。
噂では配給が前作と変わったので邦題も一新されたらしいが、私がホラーに詳しい友人から前作は「死霊のはらわた」リスペクトした最高のポテンシャルと聞かされた。マテマテそんな謳い文句なら星の数ほど、イヤ履いて捨てる程聞いてるけど、騙されたと思ってと、私を騙す方が最高難度と知っての狼藉に負けたけど、確かにアイデアは凄い、映画の基本としてカメラワークも良い。
言うても超低予算なので監督は前作「サイバー・ゴースト・セキュリティ」既視感溢れるゴーストバスターズのパクリで儲けた全てを「謎の地下室」注ぎ込んだので、見た目も前作よりパワーアップ。ロケに投入する金は無く、仮面ライダーの様にセットの使い回し(笑)、人間とゾンビとマッドサイエンティストとサイボーグと超能力アーミーが組んず解れつ戦うシーンは、中々の見せ場。アップリンク京都はシッチェスが基本レイトショー扱いなので、仕事帰りの人が多い筈だが今回はゾンビ映画なのに、と言っては失礼だが、前の席の奥様方の私語が煩く、係員にサイレント化して貰った。まぁ「イビキ」よりマシ(笑)。
ゾンビ映画の起源は衆目の一致するレビュー済「Night of the Living Dead」4Kリマスター版だが、アメリカ発祥のゾンビ映画をフランス映画としてアレンジしたのが1991年「デリカテッセン」。核戦争で草木も生えない世界で売られてる「肉」。世界観は食とセックスの為に生きるフランス人の感性を見事に表した傑作。独特でクレイジーな世界観を構築する点では本作と共通する部分も多い。Jean-Pierre Jeunet監督のセンスを、広大なオーストラリアでゾンビの様に蘇らせた、と言えば褒め過ぎか?。
前作の直後から始まるが予習した方が更に面白い。車を走らせたり電気を起こす燃料がゾンビだからサステナブルと言うトンチキな邦題だが、自然と共生する点はオーストラリア映画の原点で、思想的にも視覚的にも海外で理解も深まるのでは?。低予算をレトロ・フューチャーで補うが、何より凄いのは監督が自分の描きたいテーマを追求するのではなく、徹底的に観客目線で楽しませようとする心意気がニクイ。昭和テイストの演出もゾンビの水戸黄門を見る感じで、映画の本質を追及するスタイルに諸手を上げて拍手を送りたい。スリラー専門で下品でグロい作品を嫌悪する私が褒めてるから信用して(笑)。
ゾンビがSDGsだからSZGs?(笑)、ジャケ写がもう少し品が良いと薦め易いけどね。