森達也の劇映画⁈
てことで前情報無しで観てきた。
テアトルはほぼ満員。
辛気臭いドラマがだるいな、荒井晴彦テイストやん、との懸念は、エンドロールで的中。
脚本には森達也は絡んでなかった。
行間ゼロ、無駄に豪華な役者陣の再現ドラマがつまらない。
特に井浦新が辛気臭さを助長。
東出君の使い所は安直。
瑛太も東出君も配役はそっち側じゃない。
田中麗奈、黒目がデカ過ぎて、最近のホラートレンドと合致するかのようなショットあり。
あと、もれなくピエール瀧、もうええて。
綿密な取材、鋭い視点、意地悪な挑発、黙って観察、森達也のドキュメンタリー手法を造りモノの芝居に置き換えることは不可能。
その時代の再現と撮影にのみ注力されているから、本作が描くべき狂気なぞどこにも見当たらない。
その筋で鍛え上げれた矜持もこのような作品の監督を務める光栄さの前に輝きを失う。
タブー素材を映画化出来たのは、昭和の遺物、日本映画界の老害、荒井晴彦の功績ではあるが、ウェットで文学性を履き違え続ける男の感性がほん無理。
ついで言うと更に作品をチープたらしめた音楽は鈴木慶一。
老いたな。
火の玉ボーイ好きでした。
この時代に人口に膾炙すべき素材であるのは間違いないし公開タイミングもすごい。
観るものに問いかけるテーマではある。
ただ、映像作品としてはどうなのよ。
同様のテーマの作品なら、熊井啓の"地の群れ"を観ましょう。
久しぶりのテアトルだったが、避けていた理由はこういうのに当たりたくないから。
今後匂う日本映画を観る際は荒井晴彦のクレジットが無いかよく確認してからにしようと思う。
とは言え語り代は充分なのだから、これでいいのかも。