ずっとカルト宗教を追ってきた森達也だからこそ撮れるのか、閉鎖的なコミュニティにおける集団心理とその怖さのリアリティ。そして女性の描き方に関してもこだわりを感じる。規範や同調圧力から逃れ、抵抗するヒロイン的な女性が何人も登場するし(朝鮮帰り、不貞、ジャーナリスト、名前を叫ぶ朝鮮人)、刺すのもこれまた女である。部落と水平社宣言をあのタイミングで出すのはとても効果的だったし天皇制批判をしたのもお見事。しかし歴史を見れば結局はあの水平社やアナキストですらも「みんな等しく天皇の赤子」といったファシズムに最後は飲み込まれていくのだと思うとなんとも皮肉だ…