TakayukiMonji

福田村事件のTakayukiMonjiのレビュー・感想・評価

福田村事件(2023年製作の映画)
4.1
森達也が劇作品を撮るということで、めちゃくちゃ注目していた作品。
人の善と悪の視点、加害者と被害者の視点、集団心理によって誰しもがそのどちらにもなり得る危うさを見事に描いた傑作だった。
流言飛語が広まり、異質なものを排除しようと自衛意識が高まっていき、起こる過ち。
この差別感覚だったり、集団化することで同質でいようとする意識だったり、エピソードを交えながらしっかりと描く。
森達也監督が今までドキュメンタリーで撮り続けてきたテーマと基本的には共通している。抉られた。

森監督は過去にジャーナリズムじゃないという批判を受けた時に、「ジャーナリズムだなんて言ってない。自分がやっているのはドキュメンタリーだ。ドキュメンタリーは公平中立じゃない。主観なんだ」とコメントをしたらしい。この映画は激作品だが、より加害者側に立っている。フィクションなので主観の部分も多いかも知れないが、監督の問いかけは過去のコメントの通りで、全くブレてない。

たくさんの人に観てもらいたい作品。もっと公開劇場増やした方がいい!
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