メッチ

福田村事件のメッチのレビュー・感想・評価

福田村事件(2023年製作の映画)
4.4
人は不安が頂点に達すれば、鬼にもなれる。人伝の噂からネットという形に変わった現代でも。

この物語に登場する人物に真っ当な「正義」はない。この物語の中心に存在するのは、「過ち」です。それは、日本人だけでなく全人類に持ち合わせている「防衛本能 = 愛するものを守る精神」によって起きた惨劇だと思います。普通に生きている人でも、血も涙もない過ちを犯す様を描かれていました。
勿論、人ごとではありません。人を蔑む不調は今もあります。それは、「村社会」と「ネット社会」など全てに共通している。これを書いている私でさえも、持ち合わせていることだと。
この事件の100年経った我々に出来ることは、良い現実も悪い現実も受け止めることであり、良い現実も悪い現実も後世に語ること。決して、闇に葬って良いことではありません。

また、最後にこの事件に限らずに一言述べる。どんな人を無差別な排除をして成り立つ国は、国なのか?それは、使っている言語が違っても?価値観が違っても?差別によって蔑まされた人でさえも?それは、違います。

そして、もうひとつこの映画で学ぶべきことは、SNSなどの「発信」という名の武器を持った現代の我々も同じ過ちをしてはいけない。SNSなど一般の人でさえも与えられている現代と、緊張状態で「竹槍」を持って武装していたあの時代と同じなのだから。絶対に情報を鵜呑みにせず、自分で調べて「発信」する。これは、肝に銘じることですね。
メッチ

メッチ